【おすすめWebマンガ】太郎は水になりたかった(大橋裕之)~ 全日陰男子必読! とぼけたギャグとペーソス溢れる、冴えないヤツらの地味イイ青春

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日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!

大橋裕之『太郎は水になりたかった』 トーチweb連載

学生時代、友達っていました? いたはいたけど自分含めてロクな人間いませんでしたよね。あと学生時代、なんかいいことありました? 普通なかったと思うんですよね。もうちょいマシな青春送りたかったと思います? そういう未練も、まあアニメとか見てりゃ事足りていつか消えますよね。そんな少年時代への憧憬すら乾いてしまったかつてのクラスの日陰者に、青春の喪失それ自体を笑顔で懐かしませてくれる学園マンガの秀作が本作です。

ドクロっぽい顔をした太郎とアサリの剥き身みたいな頭をしたヤスシは、同じ学校に通う男子中学生。ふたりはどちらがお互いの片思い相手と脳内で長くお付き合いできるかで競ったのがきっかけで親友同士になる。

クラスで目立たないふたりの学園生活は、体育のサッカーでゴール前に固まってなじられたり、野郎二人で夏祭りに来てクラスの美女に笑われたり、クラスの集まりに制服で行くべきか私服で行くべきか無駄に悩んだりとパッとしない。

そんな彼らの遊びといえば、同じクラスの夏目君と死体ごっこをしたり、手でおわんの形を作ったまま6時間維持しておっぱいの感触を手に再現したり、『真剣10代しゃべり場』見て「ヌルいなこいつら」とボヤいたり、まるでボンクラ。他愛のない妄想や意味のないことばかりに熱心で、それが無意味であること自体に意味を見出すしかない切実さがリアリティと滑稽味たっぷりに描かれます。

暇を持て余した内気な中学生の奇行や自意識、その空虚さと倦怠感が淡い絵作りの微妙な匙加減で、ギャグにも哀愁にも転がっていく。何のせいかは定かでないが始まる前に終わってしまう青春というものが、自省的かつ暖かい眼差しでそれそのものとして切り取られていることに、色々と身に覚えのある読者は妙にホッとさせられてしまうのです。

なんやいかにもオルタナティブというかガロというか……という絵柄スレスレながら、素朴な読み心地で親しみやすいちょっと切ない青春ギャグマンガ。トーチ作品全般にバックナンバーがちょいちょいnoteでの有料配信に切り替わっていて単行本化が待ち望まれるところですが、たま~に読むと沁みること間違いなしな要チェックの一本ですよ!

『太郎は水になりたかった』掲載情報

・作者:大橋裕之
・掲載メディア:トーチweb

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