【Web漫画】えっ去勢まで!? 奇才の混沌群像劇『名も無き一夜のファンタジー』は……一気読みするしかない!

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日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!

窓ハルカ『名も無き一夜のファンタジー』 トーチWeb連載

知的障害者の兄ジョージを持つ妹マチルダは恥垢の痒みで股間を掻きまくる兄を見かねて、学校(カトリック系)の神父様に兄の性器の洗浄を依頼。ところが神父はジョージをうっかり射精に導いてしまい、罪悪感にかられて「わが一物を切り落とし給え」とマチルダの前で絶叫する。勢いで近所の果物屋で強姦未遂をやらかした兄のも加えて、マチルダは2本の男性器を切り取る羽目になるのだった……

第1話から悲しいお話ですが、この作家さんのマンガはほとんどがこんな調子。一見すると危険な幼児性を匂わす素朴なタッチで、ディープすぎる性愛や禁忌的なモチーフをタブーガン無視で明け透けに開幕ゼロ秒乱れ打ち。しかし軽やかな笑いとペーソスでもってそれをドラマに落としこむ謎にヒューマニスティックな作風が窓ハルカの持ち味です。そんな作者が自費出版した現在入手困難な同人作品が本作。トーチWebで特別掲載され、ついこの前最終回を迎えました。

流れ者に強姦されかけていやまし男根への憎悪を募らすマチルダ……というところで舞台は変わり、王族の青年ロレンスと、彼を想って自慰に耽ったりピアノを男根でエレクチオン奏法したりしているその弟グスタフが登場。グスタフは兄が愛玩する白痴(また!)の奔放な美少女メイド・マルガリータに嫉妬し、彼女を犯してみたり自分でメイドに扮してみたりといった愛憎劇が繰り広げられる。

次いで、サーカス団のウブな青年ジョナサンが花形の淫乱美女イゼリアに股間を揉まれつつも彼女との純愛を夢見る青春劇へ。ところがイゼリアは新国王に即位したグスタフと電撃結婚。そのグスタフは白痴メイド憎さで国中の障害者を全員殺すと言い出し、マチルダの兄ジョージも処刑台に立たされてしまうのだが……!?

リビドーに翻弄される群像にフォーカスした連作短編に通底するのは、執拗なまでの性嫌悪とインモラリズム。けれどもそれを諷刺ですらなくそれ自体として乱暴に提示し、そのまま人間愛の眼差しで見つめ通して長編にまとめ上げており、作劇としてもマンガとしても異様なパワフルさがあります。

こんな逸脱した世界観なのに、抑揚の効いた演出や柔らかな絵柄も相まって、漫画読みでなくとも親しみやすい読み味なのがスゴいところ。モラルはないけど愛がある破天荒に暖かい一作、トーチでは最終回公開後しばらくして限定公開になるので急ぎ一気読み推奨です!

 

『名も無き一夜のファンタジー』掲載情報

・作者:窓ハルカ
・掲載メディア:トーチWeb

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