【Web漫画】ほのぼの漫画と思ったら……本格サスペンス!? 多重人格ドラマ『マヤのマンション』は一気読み推奨の注目作!

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日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!

wolf_D『マヤのマンション』 comico連載

『ジキル博士とハイド氏』以来、多重人格をテーマにした作品は数知れず。ずばり解離性同一性障害と指せば、幼少期の虐待などに端を発する重い精神疾患で、過度なロマン化は危ぶまれるものの、ミステリやホラーの素材としては今なお魅力的なモチーフです。本作はそんな多重人格を扱う作品の中でも、一女性における多重化した意識が統合に向かう内面のドラマを、ヒューマニスティックな暖かい視点からビジュアライズし寓話化した意欲的な一作です。

舞台はとある欧米風の町並み。物語はドキュメント風に、最近街に越してきた“彼女”にまつわる人々の街頭インタビューから始まる。一人暮しの20代女性で、性格はおてんばでドジ、否、本当は大人しく上品な子。突然整備士を辞めてパン屋に就いた。難解な書籍を買い求める一面があれば、古美術にも関心を持ち、かと思えば無銭乗車などの素行の悪さも噂される。

彼女の名はマヤ。彼女の一人住まいにはルームメイトがいる。活発なユリア、知的なエイダン、お淑やかなソフィー。彼女らはマヤの肉体を共有して暗い心の部屋に共同生活を営み、「光の座」に立った一人の人格のみが現実に顕在化して肉体を司る。同じ「マヤ」でありながら彼女たちは性格も意見も食い違い、とっさの交代にはひどい頭痛すら伴うため、周囲に与える印象も日ごとにまちまちなのであった。

彼女たちは協同してどうにか「マヤ」の社会生活を営むが、それぞれ腹に一物を抱えた様子。「マヤ」は何気ない日常を送りつつも、心の同居人同士の対立は徐々に深まり、読み味はサスペンスの感触が強い。心象風景に現れる歪なマンション、本棚にしまわれたマヤの記憶、更なる別人格。モチーフ自体はベタながら、ストーリーは思わぬ展開を見せる。

外界と内界の巧みなクロスカッティング、単純な解離概念や対象化からはみ出した住人たちの描き方、真実の自己をめぐる王道のプロット。発想はシンプルながら、一つ一つの要素の組み立て方は独特で、漫画としてはありそうでなかった読み心地。comico作品につきものの冗長さも比較的控えめで、上品な洋画への志向が伺える丁寧な演出も好感触です。

完結済で約40話、だいたい単行本2、3巻ぐらいの分量でしょうか。comico作品には珍しくしっかり構成を切ってまとまった中編サスペンス、週末の一気読みにオススメの一本ですよ!

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『マヤのマンション』掲載情報

・作者:wolf_D
・掲載メディア:comico

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