【Web漫画】まさかのファミコン風ドット絵マンガ!? 『Final Re:Quest -ファイナルリクエスト-』は手間かかりすぎ&懐かしすぎ……だけじゃない面白さ!

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日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!

日下一郎『Final Re:Quest -ファイナルリクエスト-』 水曜日のシリウス連載

勇者が魔王を倒し、世界は救われてハッピーエンド……というのは、『ドラクエ』以来RPGのお約束。平和になった世界のその後をテーマにしたお話も、最近じゃラノベでも漫画でもお馴染みかも。ところがそこをシビアにとらえて、プレイヤーがクリアして忘れ去ったゲームの世界ってどうなるん?という視点で描き、しかも全編ファミコン風のドット絵で打ってるという色々ガチな作品があるんです!

RPGゲーム「Final Quest」のエンディング画面。スタッフロールも切れて全てが静止した王城で、老戦士アソンテはひとり目覚める。そこで目にしたのは、カセット半挿ししたみたいにグラフィックが壊れた、謎の現象「バグ」に冒された世界。アソンテはその謎を解くため、消えた勇者を探す旅に出るのであった。

ゲームあるあるネタはもちろん、レトロゲームへのノスタルジーを扱う漫画もよくあるし、フィクションの住人側から現実を見つめ返すシニカルなファンタジーも王道っちゃ王道よね……と舐めてかかっちゃいけない。色は3色パレット縛り、会話は全部ひらがなで表示と共にお馴染みの効果音が鳴り、BGMもいかにも8bitのピコピコ感……ニコニコ静画のスライドショー&サウンド機能をフル活用して、ファミコンのスペックに準拠したレベルのゲーム風表現をガチで追求しており、すでに漫画でなくゲームプレイ動画かアニメになってるのにまずビビること間違いなし。

物語の導入は『ドラクエ』パロディテイスト。バグの荒野を旅するアソンテはライアンよろしく、ホイミン風の人間化願望を持つモンスター・ミイポンと再会するが、バグったミイポンはアソンテに襲いかかる。『DQ3』商人の町風に利潤追求の果てにクーデターで幽閉された守銭奴リカトクは、実はトルネコよろしく妻子思いで家族のバグを治そうとしており……などなど、レトロゲームファンを掴むネタにしても味付けはシリアスで、掴まれたファンも勇者=かつての自分自身が消えた世界でバグに苦しむ住人が次々に描かれるからたまらない。

70年代生まれのゲーム少年に読者層を絞っているかというと、さもあらず。7話でやっと出てきた初の美少女キャラ・シロテはビキニアーマー風の出で立ちで機械竜に乗ってるから80~90年代のファンタジーアニメ感バリバリで、あともうちょい下のオジサンも射程内!

やっぱりそういう懐古趣味……なんて引いちゃう方々も大丈夫。安手の自己言及を極力避けたゲーム世界のリアリティの置き方は、プレイヤー、つまり神の沈黙あるいは不在という変にキリスト教的な主題にまでフォーカスしており、メタフィクションとしての本気度と特有のメランコリーは一種の凄みを醸し、それを具体化するゲーム的表現との相乗効果も脱帽モノ。「ファミコンに対する落とし前」と表明されたその問題意識は、ゲームファンでなくとも興味深く追えるはずです。

ファミコン画面の徹底的な再現、それを意図的に外して思わぬ驚きと世界の広がりを見せる漫画としての演出も相当巧み。1話につき300カット前後の大ボリュームですが、再生速度そのままで読む(というか視聴する)のがオススメですよ!

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『Final Re:Quest -ファイナルリクエスト-』掲載情報

・作者:日下一郎(株式会社ヒューガ協力)
・掲載メディア:水曜日のシリウス(第4水曜日更新)

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