【Web漫画】セカイで一番泣ける(?) 変則ラブコメ! 『文句の付けようがないラブコメ』は銀髪美少女神様が可愛いので読むべき……かも

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日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!

漫画:肋兵器 / 原作:鈴木大輔『文句の付けようがないラブコメ』 となりのヤングジャンプ連載

最近ラノベ読んでますか? もう流行りものとかハーレムラブコメについていける歳じゃない? そんなオジサン手前のオタの人でも楽しく読めるかもしれない、古典的なセカイ系プロットと先端的なラノベセンスを合いの子にしたような不思議なラノベのコミカライズ作品が連載中ですよ!

古代の神々が供犠を求めたように、今この世界にも神様がひとりいて、生け贄を欲している。謎の組織・九十九(つくも)機関に神の生け贄として選ばれた高校生・桐島ユウキは、十年を経て初めて神と謁見する。ところが屋敷の奥に待っていたのは、神鳴沢(かなるざわ)セカイと名乗る銀髪美少女の神様だった! 生け贄の対価として願い事を叶えてくれるというので、ユウキは思わず「結婚してください」とプロポーズしてしまい、セカイちゃんもOKしてくれちゃった! ナンデ……?

一応ヘビーな展開が予想される導入だけど、何のために生け贄が必要で、なぜ主人公が選ばれ、だから何をすべきなのか、という説明は一切ナシ。「機関が決めたことなので知らん」とセカイ自ら宣言し、神と生け贄である以上に夫婦でもある二人だから、まずは仲良くお話したりお互いを知り合って、初夜はいつにするべきかモジモジ相談しあったりと、ラブコメ空間に一直線!

思いっきり前フリした枠組みを完全に宙ぶらりんにしたまんま、コテコテなラノベ文体の語りと美少女とのダイアローグが全面化。根拠薄弱で足元が覚束ないキミとボクのセカイだけど、「それ自体が楽しいし私にとってはそれが全てだ!」とやっぱりセカイちゃん自らが宣言する。

ソリッドな筆致で劇的なものの気配を匂わせながらもついに退け、何気ない日常を対照的に異様にドラマティックに演出する作りは、日常ラブコメの純度とか強度を高めるためだけにわざわざものすごく面倒な手続きを踏んでいる!? と疑わせ、進むべき話が進んでいないような不安感と、一回転して結局シリアスな緊張感ある読み味を醸しているのがスゴいです。

原作者・鈴木大輔のコメント曰く「最高のラブコメとは何か?」というコンセプトとのこと。確かに、作者過去作の『ご愁傷さま二ノ宮くん』『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』といった先端的なハーレムラブコメの乾いた即物性と無意味性をもって、湿って鬱屈したセカイ系の枠組みを捉え直して止揚すれば、若者もアラサーも文句のないすげえラブコメができるのでは!? みたいな気概はビシビシ感じられます。

いわゆる一昔前のセカイ系とか流行りのブラックな魔法少女ものの感性って、ライトな導入からダークな展開に至るギャップがウリなわけですが、本作は逆にダークな見せかけからライトな本質へ導かれる作りで、それこそがハーレムラブコメ作家ゆえの倒錯もしくは独自の美学であり、最高のラブコメという自負に繋がっているのでは、とも思われます。

ちょっと勘繰れば、ライトノベル的ラブコメディのドグマティックな枠組みに真面目な作家さんが真面目すぎるゆえ、恋愛関係の根拠が薄弱で「中身が薄い」と言われがちなそれ自体を肯定すべく、前時代を風靡してアンチテーゼ的に命脈を保つセカイ系の道具立てを持ち出したそばから無化した上に立ち、現在的なラノベドグマの栄光を謳い上げているかのような印象さえあります。そうとでも思わなきゃ解釈できないような、煮詰まった自己言及性と挑発性に満ちた奇妙すぎる読み味なんですよね……

文句を付ける付けない以前に「最近のラノベ、なんかハイコンテクストになりすぎでは?」と絶句してしまう問題作。とはいえ、妹キャラを木戸衣吹、セカイちゃんを水瀬いのりあたりで脳内再生したら楽しそうです。今したら楽しかったです。原作ではこのあと世界改変やループも絡むようで、まったくもって先が読めない意欲作となっておりますよ!

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『文句の付けようがないラブコメ』掲載情報

・作者:漫画・肋兵器 / 原作・鈴木大輔
・掲載メディア:となりのヤングジャンプとなりのヤンジャン!

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