【Web漫画】裏サンデー発、本格ダークファンタジー! 『堕天作戦/竜姫活殺』がなかなか完成度&期待度高し!

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日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!

山本章一『堕天作戦/竜姫活殺』 裏サンデー連載

Web出身作家を多数起用し、インディーズ感が残る荒さの中にも個性的な魅力が光る作品を多く連載している裏サンデー。「漫画界のルールと伝統をぶち壊す」ってなコンセプトのもと、斬新ながら癖が強い若手作家のセンスが遺憾なく発揮されており、正直ちょっと馴染めない漫画読みの人もいるかも。そんな非裏サン読者でも注目しておきたい、やけに作り込まれた本格ダークファンタジーの一作がこちらです!

魔人が魔術をもって旧人(人類)の文明を滅ぼした遠未来。魔族と旧人の永き戦いが続く中、魔軍の捕虜となった男アンバーは、あらゆる凄惨な処刑を受けても肉片や消し炭から再生する不死者だった。気球で飛ばされ高高度に凍える「虚空処刑」を受けたアンバーは、同じく刑に処された死出三途の供、魔軍の女性レコベルと束の間の交流を果たす。終わらぬ過酷な生に心を失くしていたアンバーは、彼女を看取る中で死んでいた感情が再び動き出すのを感じる……

現代文明が腐鉄菌という細菌で滅び、科学が旧人の宗教として魔術を持つ新人類に相対化されたというシニックな遠未来設定。科学と魔術が編み合わされたサイエンス・ファンタジー的な世界観を、説明を排しダイアローグのなかで徐々に提示していく語り口で、作者の本気度が伺えるハードな読み味です。

対流圏から徐々に成層圏へ至る処刑シーンで、高度・気温・気圧という数値の漸次的変化を挟み、リアリティと肌触りをもってファンタジーの世界観に読者を誘う導入の演出は見事。パイロットに求愛して射精するマクロス風可変人型ロボ・魔竜騎兵の一方的な対地戦は次々とカウントされるキルスコアとともに描かれ、まさに一騎当千のキルスコア1000にして歩兵の榴弾に相討たれる……という見せ方も個性的。地の文的なSFっぽい見せ方を用い、ファンタジー世界の戦争に現実的な泥臭さと血生臭さを肉付けし、緊迫感と手触りのある読み味を作っているのがスゴいです。

布石や情報量は膨大ながら、インディーズ風の最低限の描き込みでやや汲みづらく、読み疲れする重さではあるかも。不死者の生というテーマ、陰鬱な空気感、フォントワークまでひっくるめた非常にソリッドな雰囲気は、若手の先端的なセンスが面白いけどチューニングが特殊な他の裏サン作品に比べて、もうちょい上の世代による堅実かつハードなセンスと美的感覚に貫かれ、若年層以外の読者でもじっくり腰を据えて楽しめそうな印象があります。

いわゆるWebマンガ的なセンスが苦手な人にこそ挑戦してみてほしい、ハイファンタジーの読み応えと作者の意気込みが光りまくった期待の新作なのです!

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『堕天作戦/竜姫活殺』掲載情報

・作者:山本章一
・掲載メディア:裏サンデー

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