このゲームマンガがすごかった! 開発者たちの物語を描いたノンフィクション系(『ドラクエへの道』ほか)

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かつて多種多様な作品が咲き乱れる、まさに文字どおり百花繚乱だった「ゲームマンガ」の世界。ファミっ子たちを熱くさせた激闘モノ、名作ファンタジーRPGマンガから原作大改変のコミカライズと振り返ってきましたが、こんどは「ゲーム開発者たちにフォーカスした実録系」をピックアップ! 今回もまたライターのみやも氏にご紹介いただきました!(編集部)

 

実録系・開発者たちの物語

ゲームが生む熱いドラマは、我々が手に入れてプレイする前からすでに存在している。そう、ゲーム開発者たちが数々の苦難を乗り越えて、作品を世に送り出すまでの経緯だ。そんなクリエイターマンガをご堪能あれ!

真のクリエイターは作り直しをためらわない!『ゲームクリエイター列伝』

著者:平沢たかゆき 掲載誌:週刊少年マガジン(講談社)

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1996〜2000年にかけて「週刊少年マガジン」で不定期掲載されたドキュメントマンガシリーズ。ポリゴン3D格ゲーで革命を起こした鈴木裕の奮闘「バーチャファイターを創った男達」、売れ線ジャンルから離れた競馬SLGの可能性に賭けて大半の作業を1人でこなした薗部博之の信念燃える「ダービースタリオンを創った男」、一度プレイすればやみつきになる純粋なホラーを目指して映画的俯瞰アングルに行き着いた三上真司の発想が冴える「バイオハザードを創った男達」など、ゲーム史に名を刻んだ作品と人物の成功譚を描く。発売間近に問題点を悟り「これじゃダメだ……」からの妥協なき作り直しがお約束。

2015122525▲セガ第2アミューズメント研究開発部(AM2研)の試行錯誤が傑作を生んだ。(『ゲームクリエイター列伝』第1巻より)

ドラクエの旗に集う猛者たちの大河ロマン『ドラゴンクエストへの道』

滝沢ひろゆき/石森プロ(画)、石ノ森章太郎(監修) エニックス(※画像は1991年の再刊コミックス版)

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初代『ドラゴンクエスト』完成までの経緯を描く、1990年刊行の伝記マンガだ。高校時代の中村光一と若手フリーライターだった堀井雄二がプログラムコンテストで邂逅、後に『ドラクエ』の企画が動き出す。エニックスとチュンソフトの面々がゲームデザインに腐心するなか、作曲にすぎやまこういち、モンスターデザインに鳥山明など大物が加わり、我々のよく知る形にたどり着く流れは、秀逸な大河ドラマを見るような感慨をもたらしてくれる。

ゲーム業界の主戦場がPCからファミコンへ移る時代背景も描かれており、プロデューサーがPCゲームと比べたファミコンの特性を「みんなでワイワイやりながら遊ぶ」と熱弁する場面が示唆深い。

2015122527▲「他人のプレイに燃えるという楽しみ方」をすでにヴィジョンとして持っていた。(『ドラゴンクエストへの道』より)

大物ゲームクリエイターの対談に注目『あそびじゃないの』

作:宮岡寛 画:岡崎つぐお アスキー

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社員のほとんどが女性スタッフのゲーム会社でアルバイトしている青年が、自分の思い描くゲームを現実のものにするため試行錯誤して企画を練る……というストーリー本編はフィクション。ただし、原作としてクレジットされているのは『メタルマックス』の制作などで有名な宮岡寛(ミヤ王)であり、『ドラゴンクエスト』開発者にしてチュンソフトの設立者・中村光一との対談が単行本に収録されているなど、実録的な情報も備えている。

対談では中村がゲームデザイナー志望者について「なりたいと言う前にまず企画を形にして持ち込まないと」と断じているが、これはいつの時代にも通じる金言だろう。

2015122529▲DQシリーズ初期の開発者である中村光一と宮岡寛の対談を収録。(『あそびじゃないの』第1巻より)

コラム)フィクションだからこそ面白い!? ゲーム会社が舞台のマンガ

成功体験から逆算する実録系に対し、フィクションなら遠慮なく登場人物の実存を揺さぶり、迫真性を持たせられる。というわけで、ゲーム会社を舞台にした“業界物マンガ”も紹介しておきたい。

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▲左)うめ『東京トイボックス』新装版(幻冬舎) 右)恋緒みなと『RiNGO』(講談社)

『東京トイボックス』は、潰れかけたゲーム会社で熱血ゲーム馬鹿な社長と大手企業から出向したOLが「面白いゲーム」対「売れるゲーム」という永遠の課題を争う。前述の『あそびじゃないの』や、成長型コミュニケーション機能搭載のポリゴン3Dヒロインを開発する『RiNGO』は、1990年代当時のゲーム開発が抱えた限界と可能性がうかがえる。『R18!』『EGメーカー』『エロゲの太陽』で描かれる成人向けゲーム会社の独特な業界事情も興味深い。「今日も一日がんばるぞい!」の『NEWGAME!』もゲーム会社が舞台だぞい!

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▲左)ぷらぱ『R18!』(芳文社) 右)得能正太郎『NEW GAME!』(芳文社)

これらの作品群は、ゲームにかける情熱と社会人の悲喜こもごもが組み合わさることで応援したい度合いが増す、“大人が読むゲームマンガ”と言えるだろう。

 

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