【映画レビュー】『キンプリ』中毒者続出の電子ドラッグ!? 大ヒット追加上映中のアニメ映画『KING OF PRISM』はココがスゴい!

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この映画、マジでヤバい」と今話題のアニメ映画『KING OF PRISM by Pretty Rhythm』(以下キンプリ)。1月9日より14館で公開されたのち、『王様のブランチ』調べの1月23日・24日付け観客動員数ランキングミニシアター部門で1位を獲得し、2月22日現在Yahoo!映画では評価件数400件超えで平均点は約4.6点、ユーザー評価ランキングで堂々1、2位争いをしております。公開期間は延長されて上映館数も47館まで拡大、応援上映イベントの開催や口コミなどで異様に人気が広まっているようです。

本稿では「一部で話題らしいけどそもそも何コレ?」って人も多いハズの本作の魅力を、『プリティーリズム』シリーズファンのライターが徹底解説。その中毒性からファンが電子ドラッグとかずばり麻薬とか呼ばわるほどの魔力の秘密に迫ります!

そもそも『プリティーリズム』シリーズがスゴい!

本作はテレビアニメ『プリティーリズム』シリーズの第三作『プリティーリズム レインボーライブ』に登場する男子アイドルユニット「Over The Rainbow」を主人公にしたスピンオフ作品。と一言で言っても作品の成立ち自体が非常にハイコンテクストで、初めての人が観てもまるで意味が分からず、もっと言うとシリーズファンが観てもさっぱり分からない作品なので、まずは順を追っていきましょう。

2011年に始まった『プリティーリズム』シリーズは、『オシャレ魔女 ラブandベリー』以降数を増したTCG方式の女児向けアーケードリズムゲームのひとつを原作とし、テレビ東京系で土曜朝の時間帯に放送された女の子向けアニメ。歌、踊り、ファッション、アイドルと女の子が好きなものをめいっぱい詰め込んだ一方で、ライブパートの3DCGモデルが結構可愛かったり、主演声優が深夜アニメでお馴染みの女性声優てんこ盛りだったりと、大きなお友達へのフックも抜け目なく備えた作品でした。『東京ミュウミュウ』『マーメイドメロディー ぴちぴちぴっち』の時代から『ジュエルペット』シリーズまで、女児向けだけどどこか尖ってる作品がテレ東土朝枠には伝統的に多いんですね。

中でも本シリーズの特色は、女児向けなのにアツすぎ&重すぎな大河的ストーリー展開です。全体を貫く物語の柱はダンススケートをしながら歌う競技「プリズムショー」とそのラストに繰り出される必殺技「プリズムジャンプ」。第一作『オーロラドリーム』は伝説のジャンプ・オーロラライジングをめぐり、主人公とは別に血のつながりはない阿世知家の呪われた血の因縁や非道な特訓で主人公の親友がガチ闇堕ち。第二作『ディアマイフューチャー』はもちろん、第三作『レインボーライブ』も楽曲盗作をめぐるショービズ界の闇や男アイドル同士の愛憎入り交じる確執などを4クールに渡って丹念に描き込みまくり! ドロドロの情念にまみれた登場人物たちの複雑な相関関係が第一のポイントで、女児どころか大人でも付いて行くのがやっとです。

上の90秒でわかると言いつつ3分ある解説動画を見ればなんとなく分かる通り、そのクソ重いドラマと共に描かれるのは(主にヒロ様の)顔芸と、何よりケレン味バリバリのプリズムジャンプ。これもシリーズの伝統で、ジャンプをすると物理法則を無視してケツから蜂蜜を出したりロケットで宇宙に飛んだり巨大化して地球を抱いたり子供が産まれたりするのですが、この必殺技を出すと視聴者がビックリしてるうちにお話がなんとなく解決するのがこのシリーズの文法なんです。要はショーとして処理されてるけど少年向けバトルアニメにおける必殺技みたいな力技のノリが色濃く、「これがプリズムの輝き!」「プリズムジャンプは心の飛躍」とマジ顔で断言されれば「なるほど」と納得するしかないワケ。「マスカレードカレーウキウキは心の誓い」に近いものがあります。

 

まさかのスピンオフ展開がスゴい!

そんなハードなお話とキマったギャグセンス、そして3Dキャラのキュート&ド迫力なライブで濃い目のアニメファンからの支持が厚い作品が、シリーズ終了後に、ハイターゲットの女性ファン向けに男性ユニットだけ取り出して映画になるのも一見意味が分からなくてスゴいですよね。本来のターゲット層の女児が二重に置いてけぼり食らってます。そこは『プリティーリズム』の後継シリーズ『プリパラ』との競合を避けた事情があるけど、企画の成立はもちろん男性キャラの人気ゆえ。

実は本シリーズ、『オーロラドリーム』から韓流スターばりのクサい格言奇言を要所でぶっ込むマネージャーJUNさん、抱きしめバチコイのグリコポーズで高笑いしながら無数に分身する無限ハグでお馴染みのCallingsのショウさんなど、男でも赤面するか笑うしかないおもしろイケメン芸もバッチリ欠かさない作風。「あざとい美形キャラを出すなら笑えるぐらい過剰に!」の精神で、最近の少女漫画や女性向け深夜アニメに近いセンスを発揮してます。そこが男女を選ばぬ見所であるという感覚は、例えばヒット作『うたの☆プリンスさまっ♪』などでアニメファンにも広く共有されたところではないでしょうか。アニメで言うと『ミラクル☆トレイン』や『ネオアンジェリークabyss』あたりも白眉ですよね。

で、ようやく『キンプリ』の話になりますが、そうした女の子向けアニメを作るにおけるハイターゲットへのクレバーな目配せ・サブ要素に過ぎなかった男性キャラをクローズアップしてスピンオフ。その結果、順番に大量のイケメンが現れて順番に全裸になり順番にマジ顔でアホなことをしていく怒涛のイケメン芸が前面化し、それがシリーズ伝統の情念に満ちた大河的ドラマと少年漫画センスのド派手な必殺技とをむりくり60分に詰め込んだ超密度展開と融合して、ビタイチ意味が分からないのにひたすら圧倒され続けるしかない謎のフィルムになってしまったようなのです。アニメって怖いですね。

 

ネタバレ注意! 『キンプリ』のこのシーンがスゴかった