【なつエロ★少年マンガ】今も“心の男子中学生”を起こす悶絶作 僕は『BOYS BE…』が大好きだ!

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少年時代、愛読マンガ誌の中に「小さなエロ」を見つけてドキドキしたこと、ありますよね!

少年誌という枠の中で作者がギリギリ限界でサービスしてくれたせいだったり、図らずもフェチズム的な目覚めを呼び覚ましてしまった自分のせいだったりと、ドキドキした理由はいろいろあるんじゃないかと思います。

そんな少年マンガに感じたエロ=「なつエロ」について“なつエロリスト”たちが語る本コラム、今回は海月一彦氏が、イタバシマサヒロ×玉越博幸コンビの週刊少年マガジン連載作品『BOYS BE……』について語ります!

キング・オブ・黒歴史!

作:イタバシマサヒロ 画:玉越博幸『BOYS BE…』
週刊少年マガジン●1991年第33号~1996年第47号

はたしてこれほど語るのが恥ずかしいマンガが他にあるだろうか? 『BOYS BE…』(副題「新恋愛白書」!)は、90年代に思春期を過ごした男子にとって、タイトルを口にするのもはばかられる大ヒット黒歴史マンガである。

一話完結の読み切り形式で主人公の男子中高生とヒロインとの出会いやすれ違いやイチャイチャや告白や……を繰り返し描くオムニバスラブコメで、予定調和的に披露されるパンチラなどのサービスカットと、ご都合主義的にヒロインと結ばれる展開のオンパレードは、読んでいて恥ずかしさのあまり思わず布団の上をのたうち回ったものである。「バカ、あんなヤツぜんぜん好きじゃねーよ!」と取り繕ってみせるが、心の内では彼女のことが気になって仕方がない。そんな中学生男子の悶々としたリビドーをこれほど刺激しまくった作品は他にない。

当時、男子たちは口々に『BOYS BE…』を馬鹿にしていた。しかし、実はみんな『はじめの一歩』や『特攻の拓』を読んでるフリして『BOYS BE…』を欠かさずチェックしていたのもまた事実。まさに作中の主人公たちと同じく素直になれない男子中高生が、隠れキリシタンのごとく人には知られないように耽溺していたバイブルこそ『BOYS BE…』なのだ。

刺激的な恋愛白書

一話完結であるがゆえに、本作はとにかく似たようなパターンの話が多い。そのパターンを一文で説明するなら下記のようになる。『内気な主人公が思いを寄せる女の子とイイ感じになったところでパンチラを見てしまい誤解されるけど正面から告白して想いが成就する』。しかし、全32巻255エピソードを通してみれば、毒もあれば遊び心もあり、実は意外とバラエティに富んでいる。「Repoat8 初体験のむこう側」は、5歳年上のお姉さんに童貞を奪われたと思ったら帰ってきた彼氏にボコられるという、少年誌としてはかなりアウトなエピソード。連載初期ならではの挑戦的な内容である。

また「Report58 あの娘はきっと‥‥異星人!?」はUFOマニアの主人公“キバヤシくん”が、転校生は宇宙人ではないかと疑うウチに好きになってしまうというトンデモ回。なぜ『BOYS BE…』の中で『MMR』のオマージュをやろうと思ったのかが最大のミステリーだ。

最終話(といっても翌週には早くも2ndシーズンの連載が開始されたのだが)は『BOYS BE…』を愛読する少年が主人公で、これまでの連載の統計データを紹介しながらストーリーが進むメタ構造となっている。主人公に「マンガはいいよなあ。オレもこういう恋愛してみてえよ」と全読者の気持ちを身もふたもなく代弁させ、ラストには「なんの取り柄もないこいつらだって……最後は勇気を持って告白したんだ――!!」とヒロインへの告白へつなげる。過去の連載エピソードすべてをネタ振りにした見事な最終回である。

今こそ再評価を!?

お約束のパンチラ、ブラチラ、胸ムニュなどのお色気カットは、連載が進めば進むほどサービス精神旺盛になっていく。すでに90年代は少年誌での乳首の露出はNGとなっていたため、『BOYS BE…』はチラリズムで男子を興奮させる手法を追求し、もはや職人芸の域に達している。

イタバシ&玉越コンビの描き出す「露出が規制された中でのエロ表現」が世の男子たちのフェティッシュでマニアックな性的嗜好を目覚めさせた功績(というか功罪)は大きい。『キミキス』や『アマガミ』といった変態恋愛シミュレーションゲームは『BOYS BE…』が切り拓いた非18禁のフェティッシュなエロ表現なくしては生まれなかったに違いない。

2016021819▲子どもにイタズラで手錠をかけられた二人が鍵をとるために努力するいたって健全なシーン……なワケありません! 本作はまさに妄想でしかありえないシチュエーションが満載だ。(単行本26巻17ページより)

本作は確かに同じような話が続く金太郎飴のようなマンガである。しかし、あらためて読み返した筆者は、なぜか飽きることなく毎回悶絶してしまった。悶絶しすぎてヘトヘトである。ひとつひとつのエピソードが僕らの「心の中の男子中学生」を呼び起こし、あの頃の甘酸っぱくて気恥ずかしい感情を追体験させてくれるのだ。

『BOYS BE…』はシリーズ3作が「週刊少年マガジン」誌上であしかけ10年に渡り連載され、掲載誌を変えながら今でもシリーズは継続中だ。90年代にはアニメ、ゲーム、舞台、TVドラマとメディアミックス展開を総ナメにした人気作である。しかし、当時の読者にとっては恥ずかしすぎて黒歴史とならざるを得ないため、嘲笑の対象になるばかりで作品として評価する声は少ない。ある意味、不当に低い評価を受けている作品であり、いまだに愛蔵版が刊行されていないのがその証拠だ。しかし、みんなそろそろ素直に向き合って告白するべきだ。

今まで恥ずかしくて言えなかったけど、僕は『BOYS BE…』が大好きだ!

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