【なつエロ★少年マンガ】PCオタは電子彼女の夢を見るか? 赤松健『A・Iが止まらない!』に抱く期待

2016031044

少年時代、愛読マンガ誌の中に「小さなエロ」を見つけてドキドキしたこと、ありますよね!

少年誌という枠の中で作者がギリギリ限界でサービスしてくれたせいだったり、図らずもフェチズム的な目覚めを呼び覚ましてしまった自分のせいだったりと、ドキドキした理由はいろいろあるんじゃないかと思います。

そんな少年マンガに感じたエロ=「なつエロ」について“なつエロリスト”たちが語る本コラム、今回は海月一彦氏が、赤松健先生の連載作品『A・Iが止まらない!』について語ります!

赤松健『A・Iが止まらない!』

週刊少年マガジン・マガジンSPECIAL●1994年No.28~1997年9月号

『A・Iが止まらない!』(通称『AI止ま』)は、今やヒットメーカーとなった赤松健の連載デビュー作である。さえない高校生・神戸ひとしが「理想の女の子」としてプログラミングした人工知能(A・I)のサーティが落雷の衝撃で実体化し、現実世界の恋人になるというドタバタラブコメディだ。当初は週刊少年マガジンでの連載だったが、21話から月刊マガジンSPECIALに移籍して作品のポテンシャルが開花。作画が安定すると同時に、少年誌の制約から解き放たれたようにエロ要素が激増した。週刊の頃は「マガジンなのにずいぶんマニア向けなマンガをやってるな~」くらいに思っていた筆者も、マガスペ移籍以降には単行本を買い揃えてしまったほどだ。

“奥手な理系主人公のもとに異世界から美少女がやってくる”という設定は、藤島康介の『ああっ女神さまっ』からの影響をモロに受けている。しかし、連載が進むにつれて長年連れそった老夫婦のような恋愛ストーリーになった『女神さまっ』に比べ、どんどんエロ描写が増えていった『AI止ま』は(中高生的には)拍手喝采モノであった。当時、『AI止ま』を読んでいた同級生の間では、「週刊から月刊へ移籍する間でひとしとサーティは一線を越えたに違いない」「いや、その後も寸止めエピソードが続いている。むしろ赤松先生が童貞を卒業したと見るべきだ!」などという議論が巻き起こっていたとか、いないとか。それほど、この作品の進化(?)には目を見張るモノがあった。

Hこそが人間性?

普通のラブコメは「ヒロインといかに相思相愛になるか」が連載を通じたテーマになる。しかし『AI止ま』の場合はそもそもサーティが“ひとしの恋人”としてプログラミングされた存在なので、いわば“好感度MAX状態”からのスタート。ただし第1話のサーティは恋愛のなんたるかもわからない無垢な存在で、全裸でモニタから飛び出しても平然としている。この第1話のサーティにはエロさもドキドキもまったくない。しかし、経験をフィードバックする自己進化型A・Iであるサーティは、ひとしとの生活を通じて感情表現が豊かになっていき、第8話では着替えをのぞかれて悲鳴を上げるようになる。さらに第11話でお姉様キャラであるトゥエニーが登場すると、ライバル心を燃やしてセクシーな服装にもチャレンジし、ひとしを誘惑することを覚える。

こうしてサーティに羞恥心や嫉妬心が芽生えていくにつれ、彼女は人間らしくなっていく。まるでボカロPが初音ミクを人間らしく調教するように、ひとしはHな行動を通じてサーティを魅力的なヒロインに成長させていくのである。マガスペ移籍以降に頻出するパイタッチもブラ外しもパンティー脱がしも、すべてはサーティが人間性を獲得していくためなのだ。かつてラブコメマンガでこれほど崇高なセクハラ行為があっただろうか?(いや、ない!)

実は『AI止ま』は自分好みの彼女を創る育成シミュレーションであり、『ああっ女神様っ』ではなく電脳版『マイ・フェア・レディ』だったのである。

2016031043▲ひとしが野球拳対決でサーティを救おうとする流れのワンシーン。サーティのこのいじらしさがたまらない!(新装版第4巻131ページより引用)

究極の恋人へ!

サーティとひとしの関係は、連載終盤にライバルのシンディが登場することで一気に進展する。アメリカからやってきた美少女シンディはインターネットのやり方を教えてもらったことをきっかけにひとしに一目惚れ。ひとしもツンデレなシンディに振り回されながら次第に惹かれていく。しかしひとしはシンディからの告白をきっちり断り、生身の人間よりもヴァーチャルな彼女であるはずのサーティを選択するのである。

最終話ひとつ前の第54話になると、サーティは自己進化の果てに、傷つけば血を流す生身の人間となりつつあることが明らかになる。そんなサーティにひとしはついに「愛してるんだ」と告白する。惜しむらくは、この後に世界を滅ぼすウイルスとの対決をクライマックスにもってきたことで、サーティの人間化というテーマが散漫に終わってしまったこと。本来ならサーティが究極の進化を経て人間となり、ひとしと肉体的に結ばれるまでは、この作品が真に完結したとは言えないのではないだろうか。

その後の『ラブひな』や『魔法先生ネギま!』といった赤松作品はすべて同一世界の出来事として設定されている。一部のキャラがクロスオーバーしており、『ネギま!』の中では神戸ひとしらしき人物への言及もある。そうなると、『A・Iが止まらない!』の物語もまだ止まっていないのかもしれない。ぜひいつか赤松作品のどこかで、本当に人間となったサーティとひとしが結ばれ、腹ボテENDが描かれることを期待して待ち続けたい。(同人誌でもいいので、サーティのHシーンを是非お願いします、赤松先生!)

『A・Iが止まらない!』は「マンガ図書館Z」で読めますよ!!

ほかにも悶絶級の【なつエロ★少年マンガ】をチェックする!

2015111111