【Web漫画】『神のみぞ知るセカイ』作者新作の実践的哲学マンガ! 『ねじの人々』は……なんだか難しいぞ?

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日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!

若木民喜『ねじの人々』 裏サンデー連載

ヒット作『神のみぞ知るセカイ』で知られる若木民喜の新作が裏サンデーで連載中! 今回も明るく楽しく美少女キャラてんこ盛りのウキウキなマンガなのかなあと期待してみたら、何やらいきなりしゃっちょこばって「哲学」をテーマにした作品らしく……

とある学校の男子生徒・根地大和は、ふいに「なぜ自分は自分なのか」という悩みにとらわれ、思索に耽るうちに頭からネジが生えてきた! そんな彼の前に突如謎の青年・晴都ルネが現れ、ふたりの難解な議論が始まっていく……

MangaONEで公開中である前説的内容の第0話を読んでみると、大学の哲学科を1ヶ月でドロップアウトした哲学オンチの作者が、雑学めいたお勉強マンガではなく自らの感覚を通してあらためて哲学を捉え、実践的な哲学マンガを目指したという本作。なるほど、そういうアプローチもアリかな? と思って読んでみると、これが意外な問題作。

舞台設定やお話の筋立てや人物のキャラクター性といった情報量をかなり省き、ひたすら続く抽象的な哲学的議論に重きを置いた作り方。マンガの表現レベルでもワイド4コマ風のシンプルなコマ割りで、人物のバストアップを正面に捉えた切り返しが多く、そこに議論の内容をビジュアル化したイメージを挟んでいくスタイルです。エンタメ作品らしいフックはたまに出てくる女の子がちょっと可愛いことぐらい。

はて? と思って読み進めると、シメの部分はとりあえず大ゴマで「それが我思う故に我ありだよ!」など西洋哲学のカッコいい決まり文句を放ち、「結論が出ないのが哲学ですよ、考え続けることが大事ですね」とごく普通にお利口なウヤムヤ感でオトす。インパクトを与えたい場面では漫画内の人物や枠線を消しゴムで消したり、作者らしきペンと手が現れて「売れた『神のみ』と売れなかった『アルバトロス』どっちがイイマンガかなあ」と自作についてキャラと対話したり、寺山修司の映画かという大昔の前衛じみた突飛な表現や自己言及が目立ちます。

哲学という大テーマを具体的な物語に落とし込まないまま思弁的手法が先立って、結果的にお勉強マンガ風になっちゃってるのが難しいところ。お勉強マンガと捉えても、奴隷道徳の概念をネットの匿名文化に適用する手付きや、ニーチェの超人概念のざっくりとした理解とか、入門書レベルでかじった人でも「うーん」と思っちゃう活用の仕方が多々あるのは……雑学としての大きな間違いはないし大枠の意図は分かるけど、人によってはモヤッとする調理の仕方が目立つかも。

そんな引っ掛かりはあるものの、静的な演出の中でメリハリを出す絵的な工夫は見所。少年誌作家らしい良い意味で青臭いフレッシュなセンスで哲学を捉え直すという試みも新鮮です。「難しいことやってるな!」と思わず感心してしまう一作ですよ!

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『ねじの人々』掲載情報

・作者:若木民喜
・掲載メディア:裏サンデー

 

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