【インタビュー】世界最強クラス「格ゲー」プロゲーマー・Infiltration 〜 プロ契約の裏側とストV上達法を語る!

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『ストリートファイター』シリーズは世界各国でカリスマプレイヤーを生み出してきた。おとなり韓国のトッププレイヤー、Infiltration(インフィルトレーション)選手もそのひとりだ。『ストⅣ』をきっかけに表舞台に登場し、世界各地の大会で優勝。ゲーミングデバイスメーカー・Razerと契約し、韓国初のストリートファイタープロゲーマーとなった男である。ウメハラ、ときど、ジャスティン・ウォンなどのライバルとして活躍し続けるプロゲーマーに、これまでの軌跡、そして『ストⅤ』の手ごたえを語ってもらったぞ!

ラストとなる第3回は、『ストⅤ』シリーズでの意気込みと、プロゲーマーとしての生活について聞いてみた。(聞き手|スカロケイ)

インフィル選手インタビュー

第1回 3年でストIVの頂点に立つまで
第2回 「ウメハラは乱されない」インフィルがライバルたちを語る!
第3回 プロ契約の裏側と『ストV』上達法を語る!

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新しい舞台、『ストⅤ』へ

――ついに『ストⅤ』が発売されました。『ストⅣ』と比べてどうですか? 印象は?

インフィル まずゲームがすごくライトになったという印象です。βテスト時代と比べると、コンボや技の活用に制約が施されています。開発側が「この技はこう使え」とわかり易く決めてくれたという感じですね。前作より、初心者が入門しやすい作品だとは思います。『ストⅣ』シリーズはキャラが増え、戦術も複雑になり、今じゃ初心者が遊ぶには難しいゲームとなりました。しかし『ストV』はキャラ数もちょうどよく、システムとコンボも簡単。前作を熱心にプレイしたヘビーユーザーは若干物足りなさを感じるかもしれませんが、カプコンが語る『スト』シリーズのEスポーツ化と、観客のハードルを下げるという意味では、仕方ない選択だったかもしれません。

――ゲームのコンセプトが「リセット」です。

インフィル 今作をよく語っている単語だと思います。ゲーム性の部分以外でも、リセットというのを感じます。最近は世界的にゲームのストーリミング放送が流行っていますが、韓国でも『ストⅤ』をきっかけに格ゲーの放送を始める人が多くなったと感じています。コミュニティ側でも、前シリーズの経験のない新規ユーザーがかなり増えました。韓国だと、今まで『KOF』シリーズをメインにプレイしてきた方たちが『ストⅤ』に真面目に取り組んでいたりします。EVOの『KOF13』で初優勝した韓国のMADKOF選手も、『ストⅤ』にはまっています。実力もかなりのものです。別ゲームの一線で活躍してきた選手が、今作で頭角を現してるのを見ると、リセットというコンセプトは成功だったと言ってもいいと思います。

――今年のカプコンプロツアーは、『ストV』のみで進行されます。これに関してはどうお思いですか? 海外のプロ選手の話を聞くと、ゲーム性の違いで不安を感じる方もいるようです。インフィル選手は、いい成績は期待できそうですか?

インフィル 前作に比べてテクニックよりは感覚と心理に重点を置く構成なので、不安を感じる選手は結構います。発売から間もないし、コンセプトがコンセプトなので、研究する部分が少なく見えるのも事実です。ゲームがライトになった分、中級の人とプロゲーマーの差も前作よりは縮まりました。

別ゲームの話になりますが、『ストⅤ』は『鉄拳7』とかなり似てます。『鉄拳7』は今までのシリーズで重宝されてきた横移動や横歩きなどシリーズ特有の3Dムーブが弱くなり、前後移動が大事になりました。なので今までのシリーズで活躍してきた選手が、システム面でかなりの損をしています。でも個人的には仕方ないと思います。変化は必要ですし。

カプコンカップも、カプコンの立場からは当然『ストⅤ』をメインで押すだろうと思っていました。EVO2016でも『ウルⅣ』はメイン種目から外されていますし。でもこれから『ストⅤ』と過ごす時間を考えると、いま果敢に選択した方がよいと思います。

自分自身については、幸い自分に合うキャラのナッシュを見つけたので、ゲームの研究と練習は順調です。キャラを覚えるのに前作ほど多くの時間を要求されないので、これからいろんなキャラを研究して、どんどん変化していきたいと思います。その選択に間違いがなければ、今年もいい結果がついてくるんじゃないですかね。

――ゲームの変化には満足していますか? 格ゲーで変化が大きいと、前作をプレイするユーザーは不満がちになることが多いですが。

インフィル 『ストⅣ』が出たとき、自分は楽しくプレイしましたが、『ストⅢ』シリーズをメインでプレイしてきた方たちはものすごく不満だったんですよね。ブロッキングもない、飛び道具が強すぎ、ダイブキックが強すぎ……。でも結果的に『ストⅣ』は『ストⅢ』とは別のユーザー層を形成し、ゲームも成功しました。『ストⅤ』も同じだと思います。今はどうしても『ストⅣ』と比べたがる人が多いですし、今まで蓄えてきたものが無用となったことに不満を言う人も多いです。でも、こういう変化を好む人もたくさんいます。個人的には、変化にはまったく不満がありません。この変化に適応し合わせていくのが正解だと思っています。

――今年のカプコンプロツアーは、去年とルールが若干変わりました。

インフィル 個人的にはだいぶ有利に感じています。スポンサープレイヤーなったことで他のプレイヤーよりいろんな大会に出れるというのもありますが、ルールをちゃんと理解すれば去年より目標を立てやすいです。去年はプレミア大会で優勝するか、ランキング枠でポイントを稼ぐかという2通りしかなかったんですが、今年はリージョンポイントやリージョン決勝、オンライン予選も加わり、去年より選択が増えチャンスも多くなったという感じです。

――去年は早い段階でカプコンカップ参加資格を取りましたが、それ以後にもいろんな大会に出場されていました。今年はどういった形でプロツアーに望む予定でしょう?

インフィル ルール発表後に大会を数えてみたんですけど、日程が確定された大会だけで80あったんですよね。日程が完全に重なる大会だと、やむを得ず一方を諦めることになりますが、大会自体はプレミア、ランキング関係なく、出られるだけすべて出たいです。これは自分の目標でもあります。スポンサープレイヤーになった以上、もっと多くの方に自分のプレイを見せるのは筋であり、個人的にも挑戦を止めたくはありません。

――カプコンプロツアーのアジアリージョン決勝が韓国で開かれることが確定されました。

インフィル 驚きましたね。

――プレミア大会が韓国で開かれることになったのは、インフィル選手とプーンコ選手の功績が大きいと思います。

インフィル もちろんそれもありますが(笑)、ユーザーの応援、カプコンやSCEKの努力などが加わった結果だと思います。タイミングもいいんですよ。『ストⅣ』シリーズだと難しかったかもしれません。せっかくの機会なので、特に韓国のファンに、会場に多く来てほしいです。会場でお会いしましょう。

03_01▲大会ルールに大きな変化が見られる2016年度のカプコンプロツアー。特に各リージョンの代表選手を選ぶリージョン決勝大会が4枠設けられたことが印象的だ。そしてアジア・オセアニアリージョン決勝はSCEK主催で、韓国で行われることが決定した。

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