【連載】死闘!アイドル聖地巡礼修行者たちの足跡(90年代〜00年代編)

聖地巡礼

アニメやアイドル、その他オタクコンテンツで、撮影の舞台や制作背景を探訪することを「聖地巡礼」という。今回の連載は、その聖地巡礼が現在のように地方自治体が歓迎したりする前のことを振り返っていきたい。ってほんと何の連載なんだよこれ

最近は、アニメのロケ地探訪などを地方公共団体が中心に推進しており公式でも使われるようになっているが、元々は煮詰まったファンの中でのみ流通していた言葉だ。

特撮方面のファンがロケ現場に足を運ぶときに生まれたらしいが、出自の詳細は不明。筆者が初めてこの言葉を目撃したのは、アイドルゴシップを取り扱う(当時・懐かしい……)雑誌月刊BUBKA。堀越日出夫がアイドルの生家を勝手に訪問する連載で、出生地と聖地をかけた少々悪趣味なキャッチコピーでのことだった。

筆者は、同時期に「モーヲタの部屋」というモーニング娘。オタクの連載にちょくちょく出演していた関係でそのキャッチコピーを目にした。友人内で「これはひどい! ……真似、するか?」と大きな話題になり、数カ月後にはメジャーデビュー前のオーディションで使われた石神井公園に集結。テレビで放送された発声練習と同じ場所で同じ隊列に並び記念撮影し、紙面に掲載するなどを行なっていた。生家ではなくロケ現場というところに良心を感じで頂きたい!

最終的には北海道にあるモーニング娘。の楽曲「ふるさと」のロケ地(北海道・美瑛)まで有志が飛び、実際の画角まで合わせ、本物と寸分変わらないPV(ただし、アイドルの代わりにオタが現地に立ち熱唱&演技)を撮影してイベントで「おたさと」として上映したりとエスカレート。最近では、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」でもオタが近いことをしていて、懐かしいな……となりました。

普及し始めたインターネットで映画『ピンチランナー』の撮影現場が静岡の清水近郊だと知った足で、詳細な道路地図を片手に二泊かけ自力でロケ地をピックアップしルポ漫画を制作するなど筆者の周囲はなんだか大変なことになっていった。

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(マガジン・ファイブ刊『VIVAVIVA! モーニング娘。』より)

まだ、公式情報で発表もされておらず、インターネットもまだまだ普及期で母数が少ないため、このあたりかも? といううわさ話しかない中で必死に探し当てる情熱は、はたから見ていても大変なものだった。

テレビ放送中にロケ地にタッチダウン!

最終的には、テレビ番組『モ~大変でした』の放送を、ポータブルTVでチェックしながら都内を自転車で散策、そこでのロケ地を放送時間中にたどり着き、にちゃんねるを舞台に最速を競うという謎の競技にまで発展していった。もう俺のことは置き去りで。

筆者が『もーたい』を見ながらネットをしている時に、知り合いからチャットで「もうあいつ、あの場所にいるぜ!?」と画像URLを教えられてみると、つい10分前にテレビで見ていた場所(モーニング娘。のメンバーが、道路表示の「止まれ」を都内のどこかの道路に描くというだけのもの)で満面の笑みでピースサインをしている知り合いが出現。言葉を失った……。

ほかにも、番組で紹介されたモーニング娘。メンバーの親戚が経営するお好み焼き屋に通い詰め、常連さんとして認められるなどの経済活動も生んだ。

聖地であるかぎり巡礼するべき

ネットでの話題も、当初はその行く先の分からない情熱を失笑気味に伝えるブログニュースなどがメインで、その後、「聖地」情報をサイトに纏める人間が出現するとともに、ファンが訪れるのが常態化しはじめる。後追い的に、各地方公共団体などが整備して観光として仕立てていったのだ。

ただし、そこで紹介されるのは映画やドラマ、アニメなどの大きなコンテンツが発表されたときだ。

基本、日々の雑誌写真撮影や、ファン向けコンテンツ、写真集のロケ地などはほぼ手付かずのままだ。もちろん、撮影されたアイドル当人ですらどこだったか三日後には忘れそうなそんな場所も、ファンにとっては聖地であることには変わりない。そして、聖地である限り、参拝するべきなのである。少なくとも彼らにとっては。

次ページからは、その「止まれ」の場所に最速でたどり着いたカリスマアイドルオタで知る人ぞ知る男サムライと、その友人TがBerryz工房のライブ会場で発売された数10枚の生写真とパンフレット、ライブの物販で発売されたDVD(Berryz工房DVDマガジン)の映像から場所を特定して見つけるまでの姿を追っていこう。