【おすすめWebマンガ】乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ(大西巷一) ~ 異端者と少女の視点から中世末期の波乱を描く、西洋歴史マンガの雄!

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日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはい え、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!

大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』 月刊のアクション(ニコニコ静画)連載

中世ヨーロッパといえば、剣と魔法のファンタジー!……もいいけれど、たまには史実に基づいたリアルな歴史ものも楽しみたい! でも実際の西洋中世って、カトリック教会の腐敗だの、十字軍だの異端弾圧だの、黒死病の流行だの、ルネサンス前の暗黒期という薄暗~い印象がある。なんかドロドロしてそうで、マンガで読むのも重いよねえ……。

そんな人にもオススメなのが、大西巷一の『乙女戦争』。フス派というキリスト教異端ととある少女を主人公に、本格歴史ものながら分かりやすく、かつ中世特有のダークな要素もエンタメとして盛り込んで、中世末期という混迷した時代のダイナミズムを描いた一作です。

舞台は西暦1420年のボヘミア王国(現在のポーランドからチェコのあたり)。12歳の少女シャールカは、聖ヨハネ騎士団の異教徒狩りで村の人々と家族を皆殺しにされ、あげく作品開始10ページでロリコンの大男に強姦されます。ヤン・ジシュカ(実在のフス戦争の英雄)の傭兵隊に拾われ、戦士になることを決意するシャールカですが、さっそく隊で仲良くなった同年代の男の子カレルは、騎士団に撃たれた末に自爆……。

このように本作は、金髪美少女がなにかとひどい目に遭う情け容赦のなさが大きな見どころ。少女の成長譚としてドラマティックなのはもちろん、「おっさんどもの地味~な戦争とか宗教対立とか読むのだるいッス」という、我々即物的な読者へのサービスも忘れてないのが心憎いんです!

とはいえ、その根底にあるのは歴史ものとしての面白さ。シャールカが巻き込まれたのは、キリスト教改革派・フス派の信徒とそれを異端視したカトリック・神聖ローマ帝国のあいだで行われたフス戦争という戦いです。若干マイナーなボヘミアの内戦ではあるものの、これが宗教改革の萌芽、騎士の凋落、銃を初めて扱ったことによる戦術の変化など、さまざまな文化の過渡期にある中世末期のエッセンスがこれでもかと詰め込まれた興味深い戦争なんです。