意外と知らない「日焼け止め」の成分と数値と選び方

今年も日差しの強さが気になる季節になってきました。太陽光というものは、放射線から遠赤外線まで、電磁波から荷電粒子まで何でもござれ。最強の核融合炉だけあって、まさに全部入りで放出されています。

その中の紫外線という10~400nm(ナノメートル)の領域の電磁波(光)は、我々の肌に日焼けだけでなく、「光老化」(紫外線によるDNA損傷や結合組織の破壊によって、皮膚の正常な再生が間に合わず老化が進んでしまう現象)を引き起こします。その結果、年齢以上に加齢感が皮膚に出てしまい、その先には皮膚がんのリスクも……。

そう、日焼けは美容面だけの問題ではありません。健康面からも対策が重要なのです。今回は市販の日焼け止め剤の成分について知るとともに、おすすめ商品をご紹介しましょう!

 

知っておきたい日焼け止めの成分

これまでに、さまざまな日焼け止め材(剤ではない)が開発されてきました。代表的なものとしては酸化チタン酸化亜鉛が挙げられます。酸化チタンは 260~400nm の波長の紫外線を特に反射します。酸化亜鉛も同様の波長を跳ね返しますが、UVA領域の跳ね返しが酸化チタンより得意。そこで 2つを混合し、無機系紫外線反射剤として使われてきました。

一方、2006年以降増えている日焼け止めが、有機系紫外線吸収剤を配合したもの。いまや、市場の半分くらいが有機系になってきています。有機系紫外線吸収剤には多数の種類がありますが、それぞれに吸収できる波長の幅が違うため、単一成分では広域をカバーできません。そのため、最低でも3種類ほどの混合が必要です。

紫外線吸収剤はもともと、樹脂や印刷物の紫外線劣化、退色を防ぐために開発されました。その中で化粧品に使ってよいとされているものは 20種類存在します。最近、特に日焼け止め業界で注目を集めているのがパラメトキシケイヒ酸エチルヘキシル(表示名称:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、EMC)です。他にもオキシベンゾン(HMB)なども使われています。

ちなみに日本では、2006年に EMC の配合が最大10%(クリーム100gの質量比)まで可能になり、それがきっかけで研究が進んだため、非常に有効な配合比率が判明。そのため、2、3年前からは、各社が無機系の力を借りずに十分な日焼け止め効果を持つ商品を発売しています。しかも、元々が印刷用のものであることから安価であり、「安い、安全、効果が高い」と、三拍子揃った日焼け止めが登場するに至っているわけです。

しかし、有機系紫外線吸収剤は、紫外線を受けて分子が分解することで皮膚に紫外線が当たらないようにしているのですが、この分解物が意外と刺激性があり、目にしみることが知られています。しみるだけでなく、敏感肌の人は炎症を起こすこともあります。そこで、こういった商品を使う場合は、使い始めた日をマジックで記入しておくといいでしょう。異常が起こった際に、自分の体質に合わない成分(商品)を見つけやすくなります。

日焼け止めパッケージの「PA」「SPF」の意味は?


PAやSPFは、紫外線に対する抵抗力を示す値のことです。

  • PA …… 「プロテクショングレイドオブUVA」の略。UVAに対する抵抗性を表す
  • SPF …… 「サンプロテクションファクター」の略。SPFの数値は、UVBによる日焼けの進行遅延度を表す

たとえば SPF5 というのは、何も付けていない状態に比べて5倍の進行遅延度があるということ。5時間ぶんの紫外線を浴びても 1時間ぶんの日焼けで済むという指標です(実際は、20~30分で 1分ぶんの紫外線被曝になるという値)。では SPF の値が 1,000 とかのものを塗ればいいんじゃないかと思いきや、SPF25以上になるとあまり差はありません。

むしろ、日焼け止め成分が毛穴に入り込む頻度が上がり、その成分自体で肌に有害作用が起きる可能性も出てきます。また、PA は UVA に対する抵抗性で、「+」から「++++」まで存在しますが、やはり「+++」以降は誤差というべきものです。

はい、ここまでが前提の知識となります。それではいよいよオススメの日焼け止めを紹介していきましょう。

オススメの日焼け止めは?

ニベア花王『ニベアサン プロテクトウォータージェル SPF35』648円

EMCが配合され、安くて買いやすいのがこちら。ただ、無機系素材が入っていません。そのため、有機系素材が紫外線で分解されたものが多く発生して分解物が目にしみやすいなどのデメリットがあります。

ラ ロッシュ ポゼ『UVイデア XL プロテクションBB』3,672円

ラ ロッシュ ポゼのサイトより)

敏感肌の方にはこちら。無機系の酸化チタンと有機系のEMC、どちらの成分も含んでおり、バランスが最高。ただ、値段がばっちり高くなってしまいます。

【おまけ講座】お肌の大敵! 紫外線の種類と光老化

地表に来ている紫外線は、長波紫外線(UVA:320~400nm)と中波紫外線(UVB:280~320nm)。このうち、UVBは表皮で止まり、UVAはその下の真皮にまで到達しダメージを負わせます。UVBの量は少なく(それでも十分な対策は必要)、大部分はUVAです。

  • 長波長紫外線(UVA:320~400nm) …… 真皮にまで届き熱となりダメージ
  • 中波長紫外線(UVB:280~320nm) …… 真皮までの細胞やDNAを損傷しやすい
  • 短波長紫外線(UVC:190~290nm) …… 猛烈な殺菌性がある高エネルギー線だがほとんど地表には来ない
  • 真空紫外線(VUV:100~190nm) …… 即座に皮膚が焼けただれる紫外線だが、大気のおかげで地表に来ない

さて、光老化のメカニズムは、紫外線による物理的なダメージと、DNAなどへのいわばソフトウェア面としてのダメージの、2段構えになっています。紫外線は皮下のコラーゲンやエラスチンといった皮膚の弾力や張りを司る構造体を破壊する力を持っています。要するに網目状に密につながっているスポンジ組織をブチブチと切り、スカスカにしてしまう(コラーゲンの種類であるⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型の比率を老化方向に傾ける)わけです。

これが起こった状態で表情筋を動かすと、コラーゲンを生み出す膠原原繊維の太さが不均一になり、密度が低下した部分がひどく落ちくぼんで深いシワとなって、折りたたみ線ができてしまうのです。これがシワができるメカニズムで、紫外線によってこの老化が促進されるところから「光老化」と呼ばれています。

というわけで、日焼け対策はしっかりと行いましょう!

※本記事は書籍『悪魔が教える 願いが叶う毒と薬』から一部抜粋し、加筆修正を加えたものです。本書では薬とつきあっていく上で知っておくとグンと便利に使える知識にくわえ、世間一般ではあまり語られることのない「裏の使い道」も言及! あんなことやこんなこと…、ヨコシマな願いも叶える薬について、真面目な本では語られない隠れた効能を解説した書籍です。毒と薬の世界にようこそ!