ダイソーの「500円モバイルバッテリー」をガチ検証してみた結果

ダイソーで販売されている薄型モバイルバッテリー『1ポート モバイルバッテリ』はご存じでしょうか。

3,000mAh のそこそこ大容量タイプが 500円という安さで手に入るのが魅力的。ダイソーじゃなきゃムリゲーな低価格ですね。おそらくお値段なりの性能なんだと思いますが、もしかたら掘り出し物かも……? 望み薄な期待とは承知しつつ、ハンダマスターかしま氏にガチ検証してもらいました!

 

ガチ検証した人|ハンダマスターかしま

ダイソー|1ポート モバイルバッテリ|540円

内蔵充電池

基板

放電グラフ

バッテリーに 5.0V/1.0A(5.0Ω)の負荷をかけ続け、終止電圧(バッテリー充電1回分の寿命となる目安の電圧、モバイルバッテリーの場合は4.5V)に下がり切るまでの時間を計測。1回の充電でもっとも長く使えるモバイルバッテリーの指標となる。本商品は 123分11秒だった。緑の線は『1ポートモバイルバッテリ』、赤い線は近い容量の「cheero Power Plus 3 stick(3,350mAh)」だ。波形の振り幅は小さいほうがよいことから、ダイソー製品はかなり出来が悪いことがわかる。

負荷テスト

4.5V を下回るタイミングをチェック。保護切断時の負荷は1.43A。

リップル電圧(ノイズ)

1.0A負荷(5.0Ω)を与えた時のオシロスコープ波形を記録してみた。Pk-Pk(最大-最小)が 2.38V、リップル周期が可聴領域である 1KHz近傍とかなり悲惨な状況に。通常のモバイルバッテリーの場合、Pk-Pk は 0.5V以下、スイッチング周波数は非可聴領域の 300〜500KHz程度というところだ。※記事初出時の内容を一部訂正しました(2018.02.04)

検証結果まとめ

  • 充電池
    • ブランド 不明
    • タイプ リチウムポリマーセル
  • サイズ / 重量 W68 × D116 × H9.5 mm / 102.9g
  • コントローラ TPOWER TP4351B(16ピン)
  • ポート固定強度
    • microUSB 穴2箇所+はんだ4箇所 強度○
    • USB 基板埋め込み+ハンダ4箇所 強度◎
  • 識別電圧 short
  • 60分後電圧 4.90V
  • 1.0A負荷放電時間 123分11秒
  • 最大供給電流(公称値)
    • 公称値 1.0A
    • 4.5V降下時 0.6A
    • 過電流保護 1.43A
  • 容量(3.7V換算)
    • 公称容量 3,000mAh
    • 実測容量 2,452mAh
    • 誤差 -18.3%
  • 1Ah単価 約220円
  • 電流スコア 60(100以上が理想)
  • 容量スコア 81(80以上が理想)
    スコアの算出についてはこちらを参照
  • 同梱物 microUSBケーブル×1

総合評価 ★☆☆☆☆(1.0)

結論からいえば “お値段なりかそれ以下のモバイルバッテリー” だろう。買うならそのつもりで。

ダイソー製『1ポート モバイルバッテリ』は総合的に見ると残念な検証結果となった。実測容量は悪くない。公称値 3,000mAhに対し、2,452mAh で誤差 -18% ほど。一般的な検証結果だ。1Ahあたりの単価220円は過去に検証したモデルの中でもトップクラスである。ただ、出力性能が弱い。

DC-DCコンバータ回路の出来が悪いのか、出力ノイズが大きく、まともに計測できないレベル。負荷試験では 4.5V を瞬間でも下回った時点の電流値(0.6A)を採用しているが、波形の振り幅が大きいことから大目に見て平均的ポイントを採ったとしても、定格 1.0A 負荷時の出力は 4.0V 程度というところ。実質的に公称出力を満たしていないと理解してもよいだろう。なお、保護切断時の負荷は 1.43A である。

これでは Android系スマホの場合、充電ができない・中断するといったエラーが発生する可能性も考えられる。iPhoneなどアップル製スマホやタブレットの場合は、充電属性は short なので 500mA での通常充電となる。スローではあるが、特に問題なく給電は継続可能だろう。

放電グラフについて補足しておくと、比較対象とした「cheero Power Plus 3 stick」(3,350mAh)との差は一目瞭然。cheero製品は終始まで 5.0V以上の電圧を変動なしでキープしているのに対し、ダイソー製品はノイズが大きく、平均電圧が低い結果となった(放電波形のサンプリング時間は 1秒)。

■部品取りとしては?

残念ながら『1ポート モバイルバッテリ』が掘り出しものということはなかった。それでもまったく評価できないわけではなく、バッテリ自体の性能は悪くない。3.7V 3,000mAhのリポ電池が 540円と考えれば、かなりのお買い得。するとこれは、ダイソー製品の評価として落とし所にしやすい「部品取りにはイイ」系か?

でも、部品として使う場合、ちょっと問題もある。

モバイルバッテリー用に使われているリポ電池は、高電流を取り出せない低電流放電用タイプ。ラジコンなどのモーター動力用の電源には不向きである点は留意しておきたい。内部抵抗が高いため、発熱してバッテリーが破損する可能性がある。部品取りは、あくまでも必要な知識と技術を持つ人向けの話だ。

※本企画における検証方法、結果の評価は編集部独自の基準によるものです。検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。個体差等により結果が異なる可能性を踏まえたうえで、商品購入前のひとつの検討材料としていただければと思います。また分解等の検証は専門知識を持つ者が行なっております。真似しないようご注意ください。