【おすすめWebマンガ】花とアリス殺人事件(道満晴明・岩井俊二)〜 なにこの超展開! SF&オカルト盛りの自由すぎるコミカライズ
日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!
原作:岩井俊二 漫画:道満晴明『花とアリス殺人事件』 やわらかスピリッツ連載
2004年に公開された岩井俊二監督による映画『花とアリス』の前日譚が、先日アニメーション映画となって公開されたのは記憶に新しいことだろう。岩井俊二監督にとって初のアニメ作品であり、前作の主人公であった蒼井優と鈴木杏が声優を担当したことも話題を呼んだ『花とアリス殺人事件』だ。今回紹介するのはそのコミカライズ作品である。漫画を担当するの『ニッケルオデオン』などで知られる道満晴明。不思議系ストーリーテラーとして評価が高い漫画家だけに映画とはまた違った展開になっている。
石ノ森中学校に転校してきた有栖川徹子ことアリスは、クラス中が信じる呪いの噂に巻き込まれる。アリスの席は昨年、何者かに殺された“ユダ”という生徒が座っていた場所であったのだ。そしてアリスは当時のことを唯一知る人物、同じクラスの不登校で引きこもりの留年した花と出会う……。という序盤の展開は映画とほぼ同じ。しかし、ここからが道満流。かなりぶっとんだ超展開が始まる。
花は呪いのために時空が歪んだ部屋から出られない。その呪いを解くには真犯人を見つけなければならないらしい。そのためにはユダとつきあっていた4人の妻が知る秘密の暗号が必要だとアリスに告げる花。アリスが情報を仕入れてくれば花がここでアームチェア・ディテクティブよろしく真犯人を推理をするというのだ。
まさかのSF&オカルト要素が雪崩のごとく侵入。よくあるラストがちょっと変更されるといった生易しいものではない。なんとも自由奔放すぎるコミカライズだろう。そのお詫びかどうかはわからないが、1話目には『ヴァンパイア』の高校教師が登場、2話目では呪文を“イェンタウン”として『スワロウテイル』を、3話目では『FRIED DRAGON FISH』と書かれたパーカーを花が着ているなど、岩井俊二映画のパロディを毎回入れ込んでいるのも面白いところ。まったく先が読めないだけに映画を観た人にこそオススメ。新しい“花とアリス”が関係に草生えるハズ!
『花とアリス殺人事件』掲載情報
・作者:漫画:道満晴明 原作:岩井俊二
・掲載メディア:やわらかスピリッツ
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