日清食品の下から目線プロモ「黒歴史トリオ」のデザインロジックとは?
あのWebサイトにはどんな狙いがある?
Webサイトを通じた広報活動において、高い宣伝効果を生み出すには、コンセプトとデザインを的確に結び付けて、情報が整理されたコンテンツを提供する必要があります。効果を上げている Webサイトはロジカルな思考にもとづいて制作されているんです。
そんな Webデザインのロジック(狙いと解決策)について、実例をもとにご紹介したいと思います。
第3回は、日清食品「黒歴史トリオ」。はっちゃけたPR手法を使い、SNSなどで大きな話題を呼ぶ事例が増えていますね。日清食品はとくにその手法に長けたイメージがあります。今回は、“売れなかった商品” の再発売にあたって仕掛けたプロモーションサイトを見ていきましょう。
今回のケーススタディ|日清食品「黒歴史トリオ」
- Webサイト(外部リンク)
- ターゲットの設定|20 ~ 30代男女。SNSやネットニュースなどWebサイトでの話題に敏感なユーザー
- 制作|代理店:電通/デザイン会社:アドブレーン、RYDEN Inc. / CD+CW+W:谷 菜々子、水本晋平(電通)/ AD:齋藤俊一郎(アドブレーン)、岡野真也(RYDEN Inc.)/ D:石橋春子(RYDEN Inc.)/ P:久野サトシ(CLIVER inc.)/ TD:兵庫達人(RYDEN Inc.) / TE:沖 良矢(世路庵)/ AE:蕪木真哉、藤田啓介(電通)
日清食品が過去に発売したものの、思うように売れなかった「カップヌードル サマーヌードル」「日清のどん兵衛 だし天茶うどん」「日清焼そば熱帯U.F.O.」の3商品。これらを「黒歴史トリオ」と名付けました。
発売当時にはどんな狙い・思いで作られたのか、どんな味がするのかなど、商品の背景を知ってもらい、そこから好きになってもらえるように、自虐の要素を詰め込んだWebサイトを制作。
下から目線のステートメントや、商品発売時のリリースに自らツッコミを入れるコンテンツなど、読み応え十分。自虐の中にも商品への熱意や愛情が伝わることを目指しています。
サイトデザインに対する考え方
Webサイトのねらい
売れなかった商品を自虐要素を込めてアピール
解決策
解決策となる キーコンセプト と デザインコンセプト は?
- ① 黒歴史的なイメージを強調する
→ 文字どおり「黒」をキーカラーにする - ② ブランド復活の必死さを伝える
→ 汚しの表現や乱暴なレイアウトで黒歴史感を表現 - ③ 愛のあるディスりを取り入れる
→ キービジュアル背景に自虐的な大量の文字を配置 - ④ 事件感・しくじり感を出す
→ フォントには新聞明朝を用いて事件感を演出
公開サイト例
黒歴史をテーマとして、新聞見出しような文字列で事件感・しくじり感を演出。全体的に自虐的な雰囲気・コンテンツを取り入れて、これまでにない商品アピールにつなげています。
黒歴史として取り上げた3商品の概要を紹介。黒歴史らしく、恥ずかしい過去を明かすような自虐的な書きぶりが印象的。普通の商品紹介よりも面白がりながら読むことができます。
3商品の開発担当者にインタビューを行い、黒歴史をテーマとした思わず笑ってしまうエピソードを公開。開発担当者の顔にわざと黒い目線を入れるなどして、やらかしてしまった感を演出しています。
黒歴史をテーマとしたオリジナルイラストを公開。チャットやSNSで使いやすいイラストにすることで、拡散しやすくしています。
あの有名なWebサイトのロジック事例を集めました!
Webサイトをロジカルに分析すれば、デザインや構成のセンスは自然と身に付く!
本書は、デザインとその論理的なアプローチ方法をテーマに掲げた、これまでにないデザイン見本帳です。また、「Webデザインの見本帳」であると同時に「Webサイトの企画・コンセプト実例集」でもあります。
何気なく閲覧しているWebサイトのねらい、コンセプト、プランの立て方を制作側から聞き取り、クリエイターやクライアントのイメージするところをロジカルに紹介しています。
クリエイターはもちろん、専門職でないクライアント側の人にとっても参考になる内容です。イメージの具体化、企画の立案、プレゼンの資料制作などで悩んだ際のヒントとしてどうぞ。
- 編集|フレア
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