【今年の電子書籍ニュースまとめ前編】kindle vs 有象無象の中で市場はどうなっていくのか

捲土重来をはかるドワンゴの再挑戦

そんな仁義なき電子書籍業界に殴り込みをかけると宣言したのがドワンゴです。11月には電子書籍ビューワー「i文庫」と、読書履歴管理SNSサイト「読書メーター」という日本を代表する2つのサービスを相次いで買収。その思惑を同社の川上会長が「Kindle対抗へ──ドワンゴが「i文庫」「読書メーター」を買収した理由、川上会長に聞く」で語っています。

「出版(KADOKAWA)とIT企業(ドワンゴ)でシナジーを出すめには、KADOKAWAの電子書籍サービス『BOOKWALKER』にもっと競争力を持たせ、強くするのが重要。やる以上は、KindleやiBookの劣化コピーのような存在ではなく、日本の他の電子書籍リーダーなどとも違ったレベルのものを出したい」

Kindle対抗へ──ドワンゴが「i文庫」「読書メーター」を買収した理由、川上会長に聞く」より引用

今年の出版業界とIT業界の特大ニュース、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合が効いているんですね。現在、苦戦中の「BOOK☆WALKER」をなんとか日本を代表する電子書籍ストアにするべく打った施策の一環です。このインタビューの中で川上会長はこう言います。

買収した読書メーターの機能を生かし、「ソーシャルリーディング」を実現したいという。ソーシャルリーディングとは、ユーザー同士のコミュニケーションを組み込んだ、電子書籍ならではの読書形態。「ソーシャルリーディングの“答え”はまだどこも出していないので、答えを示したい」という。

Kindle対抗へ──ドワンゴが「i文庫」「読書メーター」を買収した理由、川上会長に聞く」より引用

この「ソーシャルリーディング」という考え方での囲い込みは、私見ではありますが川上会長は既に一度失敗しています。2010年のドワンゴと角川のニコニコ動画と電子書籍の連携も含んだ包括的な業務提携がそれです。当時の記事「ドワンゴと角川、包括提携 ニコニコ動画と電子書籍が連携、アニメ配信も」がその雰囲気を伝えていますが、この包括的な業務提携でニコニコ動画に既にあった「ニコニコ静画」に乗り入れる形でコミックを中心にした電子書籍配信がスタートしました。が、もともとイラストSNS「pixiv」対抗の色彩の強かった二次創作イラストバリバリの場に、何の別け隔てもなく公式配信を入れ込むのが難しく現在のような配信ページとイラスト投稿ページが謎のパーティションで区切られたなんだか煮え切らない場になってしまった。完全な経営統合を経て、もう一度ニコニコ動画のようなコミュニティの中でコンテンツを循環させファンを組織していく仕組みを模索するために、「読書メーター」に目をつけたんじゃないでしょうか。

で、一度失敗したものをなぜもう一度トライするのかと考えると、答えはシンプル。それしかないからです。プラットホームとしての規模と価格の戦いでは、楽天koboのように殴り返されておしまいになるワケです。いや、楽天koboも終わってはいませんが。

しかし、この方策は一般的な電子書籍のストア間のシェア争いに還元できない、電子書籍というビジネスモデル自体への問いとしても機能してきます。

ひとまず、2014年の電子書籍業界の動きをまとめてしまいましょう


 

  1. amazon kindleストア一人勝ちが決定的に
  2. Apple iBook Store登場で即2位へ
  3. 日本産サービスの停滞と、楽天koboのセール攻勢も今ひとつ効果出ず
  4. ドワンゴがKADOKAWAと経営統合で本格的に電子書市場に取り組みはじめる

 

次回後編は、来年以降の電子書籍業界のゆくえとそもそも電子書籍ってどうなの? というところに踏み込みたいと思います。えーっと、三日後くらいをお楽しみに。