激安Lightningケーブルを使うのはアブナイ? 測定&分解してみると……
先日Amazon.co.jpの2014年のカテゴリ別年間ランキングが発表されまして、AV機器&携帯電話アクセサリ部門ではLightningケーブルが1位となっていました。iPhoneやiPadのユーザーには必須のアイテムですけど、アップル純正品が割とお高いことから、激安品を求める人が多いようです。でもそんな激安品を選んで大丈夫なのでしょうか?(断線を繰り返すと、出費を抑えたくなる気持ちもわかります) ちょいと気になるので、純正品から激安品まで6製品ほどピックアップして検証してみました。
やっぱ純正品じゃないとダメ? 実は激安品でもイケる? そこんとこ、どーなのさ!(編集部)
目次・コンテンツ
Lightningケーブルの検証方法
- 充電実測
40Wの高出力充電器とiPad miniを接続し、簡易電流電圧計を用いて充電時の電流や電圧を計測した。 - 1GB転送時間
iOS端末用ファイル管理ソフト「iFunBox for Windows」を使い、iPad miniに1GBのデータを転送。転送完了までの時間を計測した。 - シールド&芯線素材
ケーブルを切断してシールド構造や芯線の材質、被膜強度などを確認。Lightningコネクタは分解して基板を露出させ、どのようなチップが搭載されているかを調査した。
【1】お求めやすくなったアップル純正品、気になるのは耐久性
測定結果
充電実測:5.10V/1.97A 1GB転送時間:44.61秒 シールド:編み線+ホイル 芯線素材:アルミ合金
基本性能
すべての基準となるアップル純正品。細めで曲げやすく、Lightningコネクタまわりが小さくて扱いやすい。純正品だけあって、データ転送や充電性能などは問題なし。難点は価格が2,000円前後と高いこと。加えてケーブルが細身なせいか、断線しやすいとの声も多い。
分解検証
ケー ブルはしっかりと編み込まれたシールドに覆われている。ただし芯線が細く、被膜には軟らかい材質が使われていた。コネクタ基板には認証チップのほか抵抗 (またはコンデンサ)やレギュレータと思われるものなど多数の電子パーツが搭載されている。充電器からの給電をこの基板で整流してから機器本体に渡しているわけだ。なお、コネクタの基板は金属板と封止樹脂でガチガチに固められていた。
【2】Amazonベーシック製品はちょい頑丈で無難なチョイス
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測定結果
充電実測:5.09V/1.95A 1GB転送時間:44.17秒 シールド:編み線+ホイル 芯線素材:アルミ合金
基本性能
AmazonベーシックブランドのLightningケーブル。充電実測の値は今回検証したMFi認証ケーブルの中でもっとも低いものだったが、誤差の範囲。純正よりやや安いこともあり、無難な製品と言えるだろう。ちなみに、いつの間にかモデルチェンジしたのか、Lightningコネクタ部が小さくなったことで、かつてのような大きすぎて保護ケースによっては挿せないという問題が解消されている。
分解検証
電源供給を安定させるためか、電力線のみ芯線が多くかつ太くなっているのが好印象。純正品ほどではないが、シールドもしっかりしている。コネクタ部を分解すると、金属板がハンダで固定されており、かなり堅牢な作りになっていることが確認できた。簡単にコネクタがもげることはなさそう。コネクタ内部の基板は両面実装で、純正品よりもさらにチップが多い複雑な回路となっていた。
【3】これぞベストバイ! こだわりの高耐久ケーブル(高価だけど)
[amazonjs asin=”B00K2S7CCY” locale=”JP” title=”オウルテック 2年保証 ストロング ライトニングケーブル iPhone6/6Plus/5S/5C/5/iPad air/mini/iPod用 充電&データ転送対応 Apple MFI認証 1m ホワイト OWL-CBJD10SLT-WH”]
測定結果
充電実測:5.10V/1.98A 1GB転送時間:44.44秒 シールド:編み線+ホイル 芯線素材:アルミ合金
基本性能
断線しにくさをウリにした高耐久ケーブル。かなり太いものの、曲げやすいうえにクセが付きにくい仕様のため、使い勝手はかなり良好だ。なんと純正品よりも高い価格に設定されているが、永く使えるならばアリだろう。扱いが荒い人にはとくにオススメ。
分解検証
ケーブルは被膜の上からナイロンメッシュで補強されており、謳い文句どおりのタフな作り。さらにコネクタ部も手抜きなし。 基板のほか、コネクタとの接合部も樹脂で固められており、分解にはかなり手間取った。見えないところまでしっかり補強してあるのは立派。コネクタ内部の基板はAmazonベーシックと同様に両面実装。やはり純正品よりもチップの数が多いようだ。
【4】ファンシーなケーブルが欲しいならベスト!?(まぁ無難)
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測定結果
充電実測:5.10V/1.96A 1GB転送時間:44.63秒 シールド:編み線+ホイル 芯線素材:アルミ合金
基本性能
コネクタ部になぜか顔がマーキングされたファンシーなケーブル。定価は3,445円とかなり高いが、実勢価格は安い部類。ケーブルは太いものの軟らかく、使い勝手は悪くない。基本性能も問題なしだ。
分解検証
Amazonベーシック品と同様、電力線は太めになっている。コネクタ側はやや簡素な構造で基板の封止樹脂は量が少なく、ガッチリとは固定されていない。ケーブル自体は太く丈夫だが、コネクタとの接合部で断線する可能性はありそうだ。基板は純正品と同じく片面、パーツの数や配置についてもほぼ同様だった。基本的には信頼性の高いケーブルと言えるだろう。
【5】いわゆるパチモノ激安ケーブル……まぁ大きな問題はないが
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測定結果
充電実測:5.11V/1.68A 1GB転送時間:44.68秒 シールド:ホイル 芯線素材:銅
基本性能
Amazonで人気の激安品だが、MFi認証はなし。使い物になるのだろうかと嫌疑をかけたところ……充電・同期ともに問題なく使用できた(iOS 8のiPhone 5sとiOS 7のiPad miniで確認)。ただし充電性能は比較的低いものだった。認証エラーは発生しなかったので、アップルの認証チップは完全に解析されているということなのだろうか?
分解検証
シールドはホイルのみの簡素なもの。しかし、芯線には抵抗が少ない銅線が採用されている。設計・構造が適当な分を材質でカバーしているのだろう。コネクタの作りはシンプルで、樹脂や金属板は無い。コネクタを強めに引っ張ると断線しやすいのは注意したい。基板上のパーツはあやしげな認証チップとレギュレータのみ。MFi認証ケーブルのような十分な整流は行えないと思われる。
【6】これぞワーストバイ! パチモノケーブル界の価格破壊王
ノーブランドのライトニングケーブル(1m)が50円で売られていたので買ってみた。50円って……。
測定結果
充電実測:5.01V/0.86A 1GB転送時間:44.17秒 シールド:ホイル 芯線素材:銅
基本性能
Amazonで見つけた爆安品。デザインは純正品のほぼコピー……ではあるが、コネクタの工作精度が低いため簡単に見分けられる。ではダメアイテムか? というとそうでもなく、認証エラーは発生しないし、充電・同期ともに可能だった。それでもやっぱり落とし穴はあるもので、2.0A充電ができない問題が……。
分解検証
HanyeTech製と同様、シールドはホイルのみで銅製の芯線。コネクタに金属板や樹脂がなく、ハンダのみで接合され ているところも同じ。非常に分解しやすい……つまり壊れやすい構造なのだ。コネクタ内部の基板に載っているのは、ニセモノ認証チップとチップコンデンサのみ。安かろう悪かろうを地で行くケーブルといえる。財布にやさしいとはいえど、iPhoneなどにダメージを与える可能性を考えると推奨できない。
分解検証で判明、激安ケーブルには危険も潜む!
怪しい激安ケーブルは使えるのか?――Lightningケーブルを選ぶうえでもっとも気になる問題だ。調査してみた結果、その答えは「使えないことはないが、使わないほうがいい」。今回試した激安ケーブルは最新のiOS 8でも使えた。しかし、分解して中身を確認してみると、MFi認証ケーブルとは大きな差があったのだ。
激安ケーブルはMFi認証品とは違い、整流回路を省いていた。つまり不安定な電源で使うとiPhoneなどのデバイス側に想定以上の電流が流れ、故障する可能性があるということだ。となればLightningケーブル選びではケチらないほうが無難!
正直なところMFi認証ケーブルであれば性能はどれも一緒なので、頑丈さや使い勝手で選ぶのがいいだろう。