安物HDMIケーブルを買っても大丈夫?

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まったくHDMIケーブル選びは悩ましい。なぜこんなにお高いのか……と思ったら、こっちはお安い。うーん、高価なやつのほうが品質が良さそうだけど、ケーブルに三千円とか四千円を払うのはちょっと……でも安物を選んで失敗するのはイヤだし……仕方ない、中間くらいの値段のものを買って帰るか……トボトボ。

で、実際のところ、安物ケーブルは買わないほうがいいのでしょうか?(編集部)

いまどきのゲーム機やAV機器などの映像出力はHDMIインタフェースが主流だ。デジタルプロトコルを用いた規格のため映像が劣化しない。変化したとしたら、それは劣化ではなく、再生・表示機材の不良である。しかし、世の中では高品質を謳ったHDMIケーブルが売られている。映像劣化がないはずなのに高品質も低品質もあるのだろうか? でも現実に価格はピンキリ。値段の高いケーブルを買っておくほうが無難……なのか?

そこで業務用機材を使い、5種類のHDMIケーブルを対象に、「差動インピーダンス」「Sパラメータ」「アイ・ダイアグラム」という3種類のテストで品質を測定してみた。安物と高級品に質的な差はあるのか? 差が生じたとしたらそれは問題なのか? さぁ、オカルトじみたHDMIケーブル論争にケリをつけようじゃないか!

(text by pusai)

テストケーブルについて

2014122301(左から順にテストケーブル1〜5)

【テストケーブル1】激安ケーブル(ノンブランド)

380円で購入した激安HDMIケーブル(1.5m)。秋葉原の電子部材ショップで購入したもので、出自はまったく不明。まさかワンコイン以下で買えるとは……。

【テストケーブル2】高価なケーブル(ソニー「DLC-HE10XF」

4,000円ほどで購入したソニー製HDMIケーブル(1.0m)。高価なせいもあるのか、ケーブルは太く、コネクタ部は金メッキ仕様。

【テストケーブル3】Wii U付属ケーブル

Wii U本体に同梱されているHDMIケーブル(1.5m)。外被膜に妙にシワが寄るのが気になる。高級感はなし。

【テストケーブル4】PS3純正ケーブル

SCEが2011年に発売したPS3対応を謳う純正ケーブル(2.0m)。購入したときの価格は1,400円ほどだった。いまだに使用している人は多いのでは?

【テストケーブル5】Xbox One付属ケーブル

日本で予想どおり低迷している感のあるXbox Oneだが、付属ケーブル(1.5m)の高級感溢れる外観は見逃せない。ゆえに検証してみた。

 

検証1 差動インピーダンス

テスト内容

入力コネクタから出力コネクタまでのインピーダンスを測定。あまり横軸から離れず、緩やかな上昇を示す変化の少ないものが良ケーブルとなる。

テスト結果

安物ケーブルの結果
1-300yen-clock

高価なケーブルの結果
2-4000yen-clock

Wii U付属ケーブルの結果
3-wii-clock

PS3純正ケーブルの結果
5-xbox-clock

Xbox One付属ケーブルの結果
4-ps4-clock

考察

折れ線グラフのガクっと上がっているところがコネクタ部分だ。こう見ると意外なことにXbox One付属ケーブルが横軸からのブレが小さく、比較的高品質ということがわかった。高価なケーブルは下方に離れているが、大きく上方に向かうことなく全体的に変化が少ない(1.0mのため横軸が短い)。安物ケーブルも中央から離れてはいるが変化が少なく悪いとは言えず。PS3純正ケーブルとWii U付属ケーブルはやや変化が強く微妙な結果に。それでも実際の使用には問題はないレベルだ。

検証2 Sパラメータ

テスト内容

信号の減衰レベルを検証。グラフがゆっくりと下がり、なるべく上のほうをキープしていれば減衰の少ない高品質ケーブルということ。

テスト結果

 安物ケーブルの結果
1-NA-date0

高価なケーブルの結果
2-4000yen-date0

Wii U付属ケーブルの結果
3-wii-date0

PS3純正ケーブルの結果
4-ps4-date0

Xbox One付属ケーブルの結果
5-xbox-date0

考察

Sパラメータに関しては高価なケーブルが断トツで高品質。他に比べて減衰が頭ひとつ少なかった(維持している時間が長い。途中で急降下を見せるのはケーブルが短いため)。対して安物ケーブルとWii U付属ケーブルは他に比べて減衰が大きいという結果に。PS3純正ケーブルとXbox One付属ケーブルは似たり寄ったりだ。ちなみに安物ケーブルもWii U付属ケーブルも他に比べて芳しくはないものの規格内には収まっている。つまり使用には問題ないということ。10m、20mと長さを伸ばしたときにようやく影響が出るかなといった程度である。

検証3 アイ・ダイアグラム

テスト内容

信号の伝送品質を検証。アイ・ダイアグラムの中央開口部が大きいほうが品質は高い(伝送の信号波形の表示がアイ=目に見える)。

テスト結果

 激安ケーブルの結果
1-300yen-date0

高価なケーブルの結果
2-4000yen-date0

Wii U付属ケーブルの結果
3-wii-date0

PS3純正ケーブルの結果
4-ps4-date0

Xbox One付属ケーブルの結果
5-xbox-date0

考察

アイ・ダイアグラムによる伝送品質テストも一番良かったのは高価なケーブル。他に比べて圧倒的に開口部が広かった。対して他のはどっこいどっこい。どれもこれも似たり寄ったりの大きさだ。若干Xbox One付属ケーブルの開口部が狭いがそれでも微々たる差。ちなみに規格内に収まっているかのマスクテストのデータは載せていないが、すべて規格内に収まっているので、やはり使用には問題はない。製品としての条件はしっかりと満たしている。

結論……安物HDMIケーブルでも品質に問題なし!

今回の検証では「(超厳密に調べれば)高価なHDMIケーブルの品質は確かに高いが、安物でも基準を満たしていた」という結果に。つまるところ、HDMIケーブルは高い金額を払わなくても、安物を選んでまったく問題なし、ということだ。精神衛生上、わずかな信号損失も我慢できない! という人のみ高級ケーブルを選べばよいのではないだろうか。