【Web漫画】欧州情緒溢れすぎ! 『ヨーロッパでの100日』は水彩調がステキな女子必読のロマンスだった
日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!
jihyo kim『ヨーロッパでの100日』 レジンコミックス連載
せっかくの夏だしどこかに出掛けたいけれど、うだるような暑さに如何ともしがたくクーラーの効いた部屋でダラダラ……という夏休みを過ごしている人も多いであろう今日この頃。それでもたまには旅の風情や避暑の気分を味わいたい! そんな方々にオススメの一作がレジンコミックスで連載中です。
プラハに向かい雪景色の中を走る列車。バッハの無伴奏チェロを聴きながら小説を繰っていると、隣席の親切な老婆からターキッシュ・ディライトをプレゼントされて……ヨーロッパを旅して一ヶ月になるバックパッカー・永倉優の物語は、そんな情景から始まる。
優は日本の喧騒を疎み、ヨーロッパの人々や街角をスケッチして回るイラストレーター。そんな彼女の前に現れたのは、大富豪の息子の神経質そうな美青年・松下潤。やむなく宿で同室になったのを機に何となく行動を共にする二人だが、服がダサいわイビキはかくわで、潤は小汚いバックパッカーの優にツンケンして何かときつく当たる。
腐れ縁のように付かず離れずの二人は、プラハ、ウィーン、ヴェネツィア、ローマといった旅路をめぐる。優雅にオペラを鑑賞したり、美術館でクリムトを見たり、かと思えばゲストハウスで他の日本人旅行者たちと騒いだり……水彩風の淡いタッチと主線で描かれる様々なスポットや街景は情緒たっぷりで、英国旅行を追体験するようなコマ割りと視点の置き方は秀逸の一言。
実は傷心旅行だった潤は、地位や美醜に関わらず自らに素朴に接する優の人柄に徐々に惹かれていく。ロマンスとしての筋立ては古典的ながら、壮大な異国の情景と表情豊かな人物の描き方と相まってベタつかない読み味で、男性も女性も読みやすい仕上がりです。
海外旅行とか超行きたいけど暑くて動きたくねえ!という我々の要望に応えてくれる気の利いた一作、冷房を効かせた部屋でちょっくらご一読いかがでしょう!
『ヨーロッパでの100日』掲載情報
・作者:jihyo kim
・掲載メディア:レジンコミックス(毎週月曜更新)