日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし！

涼川りん『あそびあそばせ』　ヤングアニマルDensi連載

小さな頃は昼休みや放課後に友達と集まって、他愛ない遊びに興じたもの。けん玉、オセロ、カードゲーム、いっせーのーせにあっちむいてホイ。そんなお遊びに戯れる女の子たちの日常コメディ、と言えばよくあるマンガなのに、そのフォーマットから異様な表現力でキレキレのハードギャグへ転がしまくってる異色作がこちらになります！

舞台はとある女子校。転校してきた金髪美少女のオリヴィアは、ちょっとおバカな遊びたがり屋。クール系の眼鏡っ娘なのに英語テスト一桁台の隠れバカな香純、おさげが可愛いけど直球バカで腹黒い華子を巻き込んで、今日も様々な遊びを繰り広げる！

絵柄は淡いタッチと繊細な描線の少女漫画テイストがベースで、感情を語るリアルな表情付けにも大胆なデフォルメにもさらっと振れるこなれた筆致。箸が転んでもおかしい年頃の溌剌とした少女の雰囲気や、ふと垣間見えるはにかみや憂いを独特の色気で見せてきて、「なんか可愛い女の子がキャッキャしてるマンガ読みたいッス」という読者の期待に高い水準で応えてくれます。

そこをズラしてギャグ漫画として笑わせにくるワケですが、その表現が結構ハード。キャピキャピ笑顔から一転、ガチのホラー顔から妙に老け込んだ渋面、ポンチなダッチワイフ顔から『ねじ式』風の仏頂面をダリの時計っぽく溶かしたりと、美少女の顔面崩壊芸を追求しまくり！　キャラの関係性にもやや殺伐とした風味を加え、お遊戯という子供らしいモチーフや美少女ものとしての文法を裏切るギャップで、シニカルな笑いを生んでおります。

とことんまで表情豊かな結果、変にこの年頃の子のリアリティを表現するのにも成功しており、それはそれで可愛いのがまた巧み。外人だけど日本育ちで英語喋れないのを周囲に言い出せず困ってるという『苺ましまろ』を思い出す金髪美少女のオリヴィアなんか、『きんいろモザイク』の東山奈央風の「○○デース！」というエセ外人口調もあってやけにキュート。脇の下の匂いもスゴいらしいです。こういう金髪美少女はぶっちゃけ最高という御仁も多いのでは？

第2回「次にくるマンガ大賞」Webマンガ部門にもノミネートされた人気作。次にくるかどうかはともかく、確かに新鮮な読み味なので、ちょっくら読んでみてはいかがでしょう！

『あそびあそばせ』掲載情報

・作者：涼川りん
・掲載メディア：ヤングアニマルDensi、金曜日はヤングアニマル