【Web漫画】ヨクサル節異次元ワールド炸裂! 『プリマックス』が新機軸すぎる女装青春マンガで……痺れる!
日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!
原作:柴田ヨクサル 漫画:蒼木雅彦『プリマックス』 週刊ヤングジャンプ連載
『エアマスター』『ハチワンダイバー』で知られる人気作家・柴田ヨクサル。独自の作風で魅せる作者だけど、クセが強い絵柄で苦手な人もちらほらいるかも。ならば原作者としてカワイイ絵の漫画を手がければ、もっと万人受けになるハズ……と思ったら、かえって更にぶっ飛んでしまった新作がこちらになります!
「100万円くれたら何でも言うこときく」。友達同士のよくある他愛無い冗談を、高校生モン太はツチノコを捕まえた懸賞金1億円で実現可能にしてしまう! 幼馴染みのツバメと竹雄に200万を積んでモン太が願ったのは、なぜか三人で女装して可愛く踊ること。過酷な特訓、過度の減量、それに伴う「カワイイ」を連呼する宇宙人たちの幻覚……女装の喜びを知った三人は、宇宙一のカワイさを、カワイイの星を目指して暴走していく!
「なんで女装?」「カワイイの星って?」という説明や理屈付けは一切ナシ。ずばりジャンルは唯一無二のノーリズン青春コメディと打ち出され、「理由は無い! 考えるな! “カワイイ”だ!!」と鬼気迫る勢いで「カワイイ」というクリシェが呪文のように唱え続けられる。
基調はちょっと外したリズムで読ませる、ややシニックかつリリカルな文体のセリフ回し。そして「カワイイ」の表現として繰り返される女装ダンスシーンは、かっちりしたデッサンの躍動的なポーズを、ブレや動線をかなり控えて静的に見せる連続大ゴマで、富沢ひとし的なソリッドなグルーヴを醸した謎の迫力とオーラが出まくり!
究極のカワイイを目指すため、亡き母親に扮して母性カワイイ、パッドを詰めておっぱいカワイイと様々なカワイイを追求する三人。カワイイのプロであるアイドルとカワイイ勝負をすれば、歌って踊るその曲はなぜか「走れコウタロー」(マキバオーのアレ)。バックにダービー背負ってるぜ……
「カワイイは人が作り出した神なんだ」との言が謎に真に迫るほど、カワイイという概念の底の抜けた無意味性に肉薄し続ける青春ドラマで、「カワイイってなんだ……?」という問いに読者を悩まさずにおかないドラッギーな読み味。謎の批評性を受信することも、かつてない浮遊感覚に痺れることもOKな、新機軸すぎる一作なのです!
連載誌は週刊ヤングジャンプ(これを週連載……)。現在、冒頭3話までと第8話の試し読みが無料公開中で、となりのヤンジャン!では原作者のネームも特別公開されてます。第2話で一旦完結したような読み味なので、ぜひに!
『プリマックス』掲載情報
・作者:柴田ヨクサル(原作)、蒼木雅彦(漫画)
・掲載メディア:週刊ヤングジャンプ(となりのヤングジャンプ、となりのヤンジャン!で試し読み公開中)
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