【Web漫画】個性派新人現れすぎ!『窓ハルカ漫画大賞』はイイ短編揃ってるので読んどくべし
日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!
『窓ハルカ漫画大賞』 トーチWeb連載
Webコミックサイトの中でも、ガロ系っぽい漫画からBLまで多様な作品を載せているトーチWeb。そこで珍しく新人賞的な投稿企画が行われたかと思いきや、審査員はとりわけ無茶な漫画を描いて一部人気を博している作家・窓ハルカただ一人! 当然ヘンな投稿作がビシビシ送りつけられたようで、優秀賞を得た個性的な短編7編が現在公開中です。
土屋ちゃんまる『虎石くん「殺さなきゃ…」』は、目つきが悪い詰襟包帯少年が気に食わない人間を手当たり次第殺していくギャグ4コマ。寝しなに怪談『ツギハギ家族』は、義理の家族に金づるにされる青年が事故で三肢を欠損、家族から手足の移植を受けるのだが……という、歪な家族間の繋がりをグロテスクなイメージで描くホラー。モチーフの選択とかカケアミの具合とか目のキマリ方とか諸々ダークで、やっぱりみんな丸尾末広とかそのへんは好きなんだな、みたいな謎の納得感があります。
それとは真逆に、女学生の淡くすれ違う恋を7Pで綺麗に収めた結先うみ『きみの音量』、王道のホームドラマを瑞々しい筆致で描いたながみちながる『じいちゃんは発明家』など、やたらハートフルな作品もちらほら。さすがに懐が深いです。
大賞作のタケオキュージュウ『穴犬』は、壁にハマった犬の鼻先を女子小学生が舐めたりいじったりする漫画。エロとペーソスとアングラセンスがうまい具合に噛み合っており、普通に青年誌の読切で載ってそうなこなれ具合です。
斉所『昔は今』は、教師と恋愛関係にあった同級生の女性と再会した男性が主人公。現在と過去の対比の中で切なく浮かび上がるノスタルジーの中に、ねっとりと薄暗いリビドーの匂いをひそませた一品で、感性鋭く短編としての完成度もヘンに高い個人的にイチオシの一本です。
このあたりの青林工藝舎的なアレの匂いを漂わせた界隈で育っている人たちが今、どんな漫画を描いているのか? というニッチな興味を謎に満たしてくれるラインナップ。窓ハルカファンやトーチWeb読者だけでなく、独自な感性の新人さんの作品を読みたい方も要チェックですよ!
『窓ハルカ漫画大賞』掲載情報
・掲載メディア:トーチWeb