このゲームマンガがすごかった! ゲームに捧げた日々の回想&現在進行形エッセイ作品4選
これまで数々のゲームマンガを紹介してきた「このゲームマンガがすごかった!」、ラストは「実録&体験エッセイ」ものです!
ゲームに夢中になった(というかむしろゲームにすべてを捧げた)少年時代の思い出語りから、いまなお人生の伴侶たるゲームに対して抱える感情の告白まで、著者のゲームライフを赤裸々に描いたマンガ作品には秀逸なものが多すぎます! 共感できるどころか、ココロの古傷をえぐられるようなシンクロ率400%超えのエピソードに遭遇して急に激しい動悸を感じたりする危険もありますが(あるか?)、それもまた一興ということで!(強引)
今回もライターのみやも氏にご紹介いただきました。我がゲームライフに悔いなしな方、ぜひお読みください!
目次・コンテンツ
実録系・ゲーム体験記
他人のプレイや語りを通して、我々はゲームを楽しむ際の多様な視点を得る。ゲームに夢中になった子供時代の回顧や、ゲーム漬けの生活風景を描きとめたエッセイもまた、ゲームマンガの1つの形だ。
恋はせずともゲームはできる『ピコピコ少年』
著者:押切蓮介 掲載誌:CONTINE(太田出版)
マンガ家・押切連介の少年期を描いた自伝的作品。ゲーム&ウオッチの『ドンキーコング』から幕開け、ファミコンの洗礼を浴びてゲーム中毒まっしぐら、学業も恋愛も投げ捨てピコピコ遊ぶ逸話の数々が他人事とは思えない。
ゲームセンターで『ヴァンパイアハンター』を連勝中、女性プレイヤーが現れてドキドキしていると彼氏が登場、眼前でいちゃいちゃされながら対戦プレイで彼氏に惨敗し、二重の敗北感を味わうくだりが心に沁みる。
『ハイスコアガール』を読んで「こんなゲーム漬けのダメ人間男子がこんな激カワゲーマー少女と仲良くなる奇跡なんてあるか~!」と血涙を流した読者に「それでもゲームと一緒に生きていこうね」と肩を叩くかのような内容である。
▲モテに敗れ、対戦プレイに破れ……それでもゲームはやめられない。(『ピコピコ少年』より)
郷愁が照らし出す私たちの“今”『8bit年代記』
著者:ゾルゲ市蔵 掲載誌:ゲームサイド(マイクロマガジン社)
1980年代前半。田舎の駄菓子屋やデパートにある、うらぶれたゲームコーナーで、都会から1年遅れで流れこむアーケードゲームに親しんだ小学生男子を、元セガ社員のゾルゲ市蔵が『8bit年代記』で赤裸々に描いている。
『ギャラクシアン』のハイスコアを更新し続ける社会人男性を英雄と崇めていた子供時代の作者が、ある日会社から出てくるその男性のくたびれた後ろ姿に哀愁を感じるエピソードが秀逸。いまや大人になった我々が、少年時代の自分のまなざしを自分自身で受ける切なさがある。
子供時代の延長でゲームを遊ぶ大人であることにどう折り合いをつけるか。体験記系のゲームマンガは作家ごとにさまざまな答えを示す。
▲作者が心の中で「銀河戦士」と呼んだ『ギャラクシアン』の上手いおっさんの思い出。(『8bit年代記』より)
憂鬱をなだめてくれるゲーム生活『福満しげゆきのほのぼのゲームエッセイマンガ』
著者:福満しげゆき 掲載誌:週刊ファミ通(エンターブレイン)
ナイーヴな鬱屈を描かせたら天下一品な福満しげゆきが、「ファミ通」で連載している4コママンガ。あの腰の引けた言動のまま、さまざまなゲームに意見を投じたり、考え込みつつ遊ぶ日々を描く。アメリカの高校の雰囲気に憧れを持つ氏が、アメリカン美少女のゾンビぶった斬りゲー『ロリポップ・チェーンソー』の主人公ジュリエットちゃんを「すごくいい子なんですよ……」「好きだ…」とおずおず評する様はまさにほのぼの。
▲作者の素朴な物言いにほっこり。(『福満しげゆきのほのぼのゲームエッセイマンガ』より)
楽しいゲームを楽しくプレイ『ひちゃこのゲーム体験記』
著者:ひちゃこ 掲載誌:ファミ通キューブ+アドバンス(エンターブレイン)
こちらは徹底的に陽気で明るく楽しいノリと絵柄の体験記マンガ。「ファミ通キューブ+アドバンス」で2002~04年に連載されたもので、『ピクミン』や『マリオパーティ』シリーズ、『どうぶつの森e+』など任天堂ソフトが中心。ゲームボーイアドバンスSP回やポケモンセンター訪問回といった、ハード面に寄せた体験記も。単行本ならではの“ゲーム体験マンガを描くスケジュール”を紹介したコーナーも面白い。
▲テンションの高さが読者をぐいぐい引っぱってくれる。(『ひちゃこのゲーム体験記』より)