このゲームマンガがすごかった! ゲームに捧げた日々の回想&現在進行形エッセイ作品4選

「ゲーム好き」な女の子に恋したい!

ゲームの楽しさには、他人のプレイを見て燃える・自分でないプレイヤーを応援したくなる一種の片想いがあると序文で述べた。心おどり魅了されるという点で「燃える」は「萌える」に通じ、「プレイヤーに萌える」次元が立ち上がる。

ではゲームマンガで「プレイヤー萌え」を最大に体現するのは? そう、ゲーム好きな女の子だ。ゲームを真剣に遊ぶ少女には、周りへの媚びがない。画面に向かってひたすら自分をさらけだし、ときに荒々しく本気をぶちまける。それを見て我々は、ゲームという窓口から同じ熱を感じ、女の子の身も心もまるごとひっくるめた空間に包まれる。

文豪サン・テグジュペリは言った。「愛するということは、お互いに顔を見あうことではなくて、いっしょに同じ方向を見ること」(『人間の土地』より)。我々と一緒に同じゲームを見て、気持ちの深いところでつながってくれるゲーマー少女。だからこそ魅力的で、より一層愛おしく思えるのだ。

格ゲー最強お嬢様のプレイと無垢さが魅惑する『ハイスコアガール』

押切蓮介 スクウェア・エニックス

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『ストⅡ』『サムスピ』など具体的な作品描写が読者の記憶を刺激しつつ、しつけの厳しい家に暮らしてゲーセンだけが憩いの場となるお嬢様や、一途な片想い少女たちの恋愛の行方も味わえる贅沢な逸品だ。

2015122548▲格ゲー対戦でのライバル意識が、相手と共に生きたい恋心になっていく。(『ハイスコアガール』第3巻より)

少女の本気が台も心もふるわせる『FLIP-FLAP』

とよ田みのる 講談社

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憧れの少女から「あるゲーセンのピンボール台で最高点を更新すれば恋人になる」と言われた少年。下心ありきで入門した世界で、少女の熱意と技術の奥深さに導かれ、自らも真剣なピンボール打ちに変わる過程が鮮烈!

2015122550▲ただ幸せになりたい、だから本気で楽しむという少女が少年の情熱に火をつける。(『FLIP-FLAP』より)

こんな彼女といちゃいちゃできたら……『放課後プレイ』

黒咲練導 アスキー・メディアワークス

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高校生カップルが、放課後に家でゲームを遊びつついちゃいちゃ。黒髪+黒タイツ美脚+ツリ目を強調した彼女の造形や、血舐めまである濃厚なスキンシップがフェチ物として秀逸。長髪を縄に見立てたSM趣向が素晴らしい。

2015122552▲彼氏に接待プレイを要求するわがままに滲む親密さ。う、うらやましい。(『放課後プレイ』第1巻より)

レトロゲームで盛り上がる女子高生に親近感『れとろげ。』

くさなぎゆうぎ(画)、白川嘘一郎(作) マイクロマガジン社

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レトロゲームを愛する女子高生が部活でファミコンやメガドラを楽しむ。修学旅行など学園物定番の行事と懐ゲーネタが平然と融合。クリスマスプレゼントは『メタルスレイダーグローリー』ディレクターズカットだ!

2015122554▲古くマニアなゲームの固有名詞をガンガン口にするJKがおっさん泣かせ。(『れとろげ。』第2巻より)

 

コラム)プロフェッショナル伝記マンガ

前回、ゲームを作るプロを描く伝記マンガを紹介したが、一方で「プレイするプロ」の伝記も。『突撃!となりのプロゲーマー』は海外で活躍する職業ゲーマー6名に取材したもの。大会前にはゲーム練習を1日15時間、当然のように行うという。『ウメハラ FIGHTING GAMERS!』は、対戦格ゲーの神・梅原大吾とライバル大貫晋也が1990年代の少年期に激突。本当に殺し合うような鬼気迫る演出が必見だ。

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▲左から)くつきかずや『突撃! となりのプロゲーマー』(イースト・プレス)、西出ケンゴロー(画)、折笠格(作)、梅原大吾(監修)『ウメハラ FIGHTING GAMERS!』(KADOKAWA)

ファミコン黄金期の立役者、高橋利幸こと高橋名人も忘れてはならない。『ファミコンランナー 高橋名人物語』は名人のすごさを幼少期の経験にたどって根拠づける話が主。ただし、生まれたての赤ん坊が首に巻きついたへその緒を自ら引きちぎって産声をあげる回想を信じるかは貴方次第だ。うんこを投げてセミを採るなど下ネタ多めなのは「コロコロ」連載のご愛嬌。

2015122546▲河合一慶『ファミコンランナー高橋名人物語』(小学館)

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