電源タップをガチ比較! パナソニックはさすがの老舗品質……そしてベストバイは?

Z01

「電源タップ」は信頼性&耐久性が高いものを使うべし!

テレビやゲーム機から冷蔵庫などの白モノ家電まで、現代人の生活は電化製品に囲まれている。どの家庭でも、壁コンセントだけではとても足りないはず。そこで電源タップを使用することになる。

電源タップこそ、縁の下の力持ち、電化製品の基本中の基本とも言うべき存在なのだ。誰でも使うものだけに多種多様なモデルが販売されており値段もピンキリだが、ちゃんと良いモノを使っているだろうか? 値段と見た目だけで決めてしまってはいないだろうか? 低品質な電源タップを使っていると、電力を供給している機器に影響を及ぼす可能性もあるため、電気的にしっかりしていて信頼性の高いものを選ぶべし!

ここでは売れ筋のものや特徴的なもの9製品をチョイス。テスト&分解して、どれが本当に良いものなのかを検証していこう。

評価ポイント

ケース

足元に置くものなのでうっかり踏んでも大丈夫な強度が欲しい。また絶縁がしっかりしていないと危険! 主にケースの分厚さをチェック。

導線

大電力機器で使用した場合、頼りない導線では発熱や電圧低下の原因になる。太くて低抵抗の導線が使われているものを選びたい。

ハンダ

ハンダは銅よりも電気抵抗が高く、融点が低い。電力配線にはできるだけハンダを使わないほうが良いのだ。

放熱性

ケースが広く放熱性が高ければ、許容電流を大きくとれる。導線から熱が出るような大電力機器は、電源タップに繋がないのが理想ではあるが……。

電気抵抗

電気抵抗が高いと発熱や電圧低下の原因となる。最近の電源タップは、スイッチや可動式コンセントなど抵抗が増える要素が多いため注意したい。

チェックした電源タップ

エレコム『T-BR04』 愛三電機『AOAM41N-MG』 エレコム『T-T01-36』 サンワサプライ『TAP-B40BK』 ヤザワコーポレーション『HBKS662WH』 ヤザワコーポレーション『H642WH2USB』 鳥井電器『BP 99820』 ELPA『WLS-N62EB』 パナソニック『WHA2516WP』

 

それでは9製品を一気にチェック!!

 

①エレコム『T-BR04』

A01

A02

価格&スペック

アマゾン価格:1,027円(2015年2月9日時点) ●口数:6 ●芯数:2 ●コンセント:固定 ●スイッチ:6個 ●ランプ:6個 ●ハンダ:有り ●導線断面積:黄銅(3.56mm×0.68t)、最細部2.42mm² ●外コード断面積:2.0mm² ●抵抗値:22.7mΩ(コード1m) ●ブレーカー:無し ●サージ:有り ●ケース厚:1.65mm、樹脂下敷1.9mm

評価コメント

アマゾンの一番人気だが……

本製品はこのブラウンカラーのほか、白、黒、ピンクのモデルもラインナップ。そのカラフルでオシャレな外見のためか、アマゾンでは一番人気となっている。しかしケースの作りは頼りなく、手でひねると「メキッ」という音がして不安を誘う。その代わりということか、タップの下面には樹脂の下敷きを付けてケースを補強していた。なおファミコンなどでもおなじみのラインヘッドネジが使用されており、分解には特殊ドライバーが必要だ。

 総合評価(最高★5個)

★☆☆☆☆

②愛三電機『AOAM41N-MG』

B01

B02

価格&スペック

●直販価格:1,470円 ●口数:4 ●芯数:3 ●コンセント:固定 ●スイッチ:無し ●ランプ:1個 ●ハンダ:無し ●導線断面積:黄銅(4.0mm×0.8t)、最細部3.2mm² ●外コード断面積:2.0mm² ●抵抗値:13.9mΩ(コード1m) ●ブレーカー:無し ●サージ:無し ●ケース厚:2.05mm

評価コメント

電材のプロが作ったタップ

秋葉原に店舗を構える電材店、愛三電機のオリジナル商品(通販あり)。その道のプロが作っただけあって、基本に忠実に真面目に作られている。ここでテストしたのは4個口モデルだが、ほかの6個口モデルと比べても太い導線が使われていた。4個口でコードも1mのため単純な比較はできないが、抵抗値が一番低くなっており、高効率で電力を分配可能。またケースも頑丈で多少のことでは壊れないだろう。

 総合評価(最高★5個)

★★★★★

③エレコム『T-T01-36』

C01

C02

価格&スペック

●アマゾン価格:1,340円(2月9日時点) ●口数:6 ●芯数:3 ●コンセント:可動 ●スイッチ:無し ●ランプ:無し ●ハンダ:無し ●導線断面積:黄銅(4.7mm×0.68t)、最細部3.2mm² ●外コード断面積:1.8mm² ●抵抗値:33.8mΩ(コード2.5m) ●ブレーカー:無し ●サージ:無し ●ケース厚:1.53mm

評価コメント

3ピン6個口では最安クラス

アース極付きの3ピンプラグが挿せる6個口モデルとしてはかなり安価で購入できた。問題はケースに剛性感が無く、ねじるとややフニャフニャした手ごたえであること。しかし内部は広く余裕を持って作られており、放熱性はよさそうだ。外コードの接続を含め、ハンダを使わずに圧着されている点も好印象。ケースの剛性感が弱く、ラインヘッドネジが使用されている点は、同じくエレコムの『T-BR04』と似ている。

 総合評価(最高★5個)

★★★★☆

④サンワサプライ『TAP-B40BK』

D01

D02

価格&スペック

●アマゾン価格:1,336円(2月9 ●口数:9 ●芯数:2 ●コンセント:可動 ●スイッチ:1個 ●ランプ:1個 ●ハンダ:有り ●導線断面積:黄銅(3.76mm×0.6t)、銅単線(1.6φ)、最細部2.0mm² ●外コード断面積:2.0mm² ●抵抗値:29.7mΩ(コード2m) ●ブレーカー:有り ●サージ:無し ●ケース厚:1.95mm

評価コメント

9個口の人気モデル

9個口モデルの中では安価なことからよく売れているようだ。三叉コンセントが3つ並んだような構造で、全長が短いのも人気の要因だろう。しかしフタを開けてビックリ。なんと差込口間の導線が銅の単線で接続されていた。ハンダ付けの箇所も多く、内部の配線についてはあまり評価できない。ただ台形型をしているためか剛性感があり、ケースは頑丈だ。

 総合評価(最高★5個)

★★★☆☆

⑤ヤザワコーポレーション『HBKS662WH』

E01

E02

価格&スペック

●アマゾン価格:891円(2月9日時点) ●口数:6 ●芯数:2 ●コンセント:可動 ●スイッチ:6個 ●ランプ:6個 ●ハンダ:有り ●導線断面積:黄銅(4.0mm×0.68t)、撚線(2.00mm²)、最細部2.0mm² ●外コード断面積:2.0mm² ●抵抗値:34.9mΩ(コード2m) ●ブレーカー:有り ●サージ:有り ●ケース厚:2.02mm、内部ブラケット2.0mm

評価コメント

豪華仕様でお手頃価格

ヤザワコーポレーションは、電源タップの世界では大手メーカーのひとつ。全体的に値段がお手頃で、本製品もランプにスイッチ、サージなどが付いて実売1,000円以下。機能面では、ブレーカーが落ちると消灯するLEDが付いているのが面白い。ただしサージ吸収素子(バリスタ)に定格がAC200V用のものが用いられていた。大きな影響は無いが、低い電圧領域のノイズ吸収が鈍感になるだろう。また内部が多少窮屈なのもマイナスだ。

 総合評価(最高★5個)

★★★☆☆

⑥ヤザワコーポレーション『H642WH2USB』

F01

F02

価格&スペック

●アマゾン価格:2,087円(2月9日時点) ●口数:4(USB×2) ●芯数:2 ●コンセント:可動 ●スイッチ:4個 ●ランプ:4個 ●ハンダ:有り ●導線断面積:黄銅(4.0mm×0.7t)、最細部2.8mm² ●外コード断面積:2.0mm² ●抵抗値:25.2mΩ(コード2m) ●ブレーカー:無し ●サージ:有り ●ケース厚:2.2mm

評価コメント

流行のUSB 充電ポート付き

本製品については特徴であるUSBポートを中心に見ていこう。まずデータ線の電圧設定はD+2.0V、D-2.72V。つまりこのUSBポートの属性は5W(900mA)で、iPadなどの急速充電(10W)には非対応。5Vの負荷テストでは0.7A負荷時5.26V、2.2A負荷時5.19Vで、2ポート5W充電なら問題ない。ただ電源回路に常時通電されており、待機電力を消費し続けるのは気になる。正直、信頼性の面で電源タップ内に余計な回路を仕込むのは賛成できない。

 総合評価(最高★5個)

★★☆☆☆

⑦鳥井電器『BP 99820』

G01

G02

価格&スペック

●購入価格:590円 ●口数:6 ●芯数:2 ●コンセント:固定 ●スイッチ:無し ●ランプ:無し ●ハンダ:有り ●導線断面積:黄銅(2.1mm×0.68t×2)、最細部2.86mm² ●外コード断面積:2.0mm² ●抵抗値:50.0mΩ(コード2m) ●ブレーカー:無し ●サージ:無し ●ケース厚:1.9mm

評価コメント

激安タップの実力は?

6個口で500円台という激安価格で選んでみた。ホームセンターなどでよく見かけるタイプで、特別な機能はない普通の電源タップ。内部の作りについては外コードがハンダ付けになっている点以外はとくに悪いところは見当たらない。しかし今回のエントリー中、電気抵抗がもっとも高くなっており、品質はイマイチ。スイッチ、ランプ、ブレーカーやサージが無く、コンセントは固定タイプ。抵抗値が高くなる要素は無いのだが……。

 総合評価(最高★5個)

★★☆☆☆

⑧ELPA『WLS-N62EB』

H01

H02

価格&スペック

●アマゾン価格:910円(2月9日時点) ●口数:6 ●芯数:2 ●コンセント:L型固定 ●スイッチ:6個 ●ランプ:6個 ●ハンダ:無し ●導線断面積:黄銅(3.5mm×0.7t)、最細部2.45mm² ●外コード断面積:2.0mm² ●抵抗値:32.9mΩ(コード2m) ●ブレーカー:無し ●サージ:無し ●ケース厚:1.63mm+樹脂下敷1.6mm

評価コメント

6個口&スイッチでこの値段

コンセントごとにスイッチが付いたタイプとしてはかなり安い部類。特徴としては、ELECOMの2モデルと同様に、ラインヘッドネジが使われていることが挙げられる。残念なことに、ケースがフニャフニャしていて建てつけが悪いところもELECOM製品と共通だ。詳細は不明だが、ひょっとすると製造元が同じなのかもしれない。ハンダ付けが無く、底面にはスイッチと一体化した樹脂下敷を入れて補強しているところは評価できる。

 総合評価(最高★5個)

★★★☆☆

⑨パナソニック『WHA2516WP』

I01

I02

価格&スペック

●アマゾン価格:826円(2月9日時点) ●口数:6 ●芯数:2 ●コンセント:可動 ●スイッチ:無し ●ランプ:無し ●ハンダ:無し ●導線断面積:銅(4.08mm×0.68t)、最細部2.42mm² ●外コード断面積:2.0mm² ●抵抗値:15.0mΩ(コード1m) ●ブレーカー:無し ●サージ:無し ●ケース厚:1.7mm+樹脂下敷1.7mm

評価コメント

老舗パナソニックの意地!

昔ながらの電源タップといった見た目だが、さすがは老舗パナソニック! まず配電には、黄銅よりも高価な素材となる銅が使われている(※)。差込口の板バネまで銅だ。ケースは内側に補強のための梁が渡されており、かなり頑丈。さらには樹脂製の下敷きも装備。この下敷きは、業務用コンセントのケースと同じ材質だと思われる。安くても細部まで手抜きのない仕事。カッコイイぞ、パナソニック! 他メーカーにも見習ってほしい。

※追記・訂正 …… 厳密には銅の導電率に近い金属とのこと。

 総合評価(最高★5個)

★★★★★

ベストバイは ②愛三電機『AOAM41N-MG』!

B01

これぞまさにプロクオリティの逸品!

電源タップに求められるのは「各機器に電力をしっかり供給すること」だ。そこで耐久性、信頼性の面から選ぶと、やはり②愛三電機『AOAM41N-MG』がベスト。また⑨パナソニック『WHA2516WP』もさすがに完成度が高い

これに対しもっとも評価が低かったのは①エレコム『T-BR04』。ついついスイッチやランプが多いものを選びたくなるかもしれないが、電気の世界ではシンプルで接点が少ないものほど高性能。見た目ではなく、ケースの頑丈さや配線の確かさで選んでもらいたい!

なんでもガチ検証!シリーズ