【連載】死闘!アイドル聖地巡礼修行者たちの足跡(90年代〜00年代編)

首尾よく海まで来たものの、二人はそこからスタジオを見つけるまで、水浸しのまましばらく歩きまわることになったという。「スタジオっぽい建物や、住宅地になっている区画が海岸沿いに広がっていたので、そっちに歩いて行ったんです。結果的にはハズレで、全然見つからない。しかも、ズボンはびしょ濡れ。

1時間くらい歩いてから、海沿いにガストがあったから昼食がてら入って作戦会議をしたんです。ガストで注文したのは、Berryz工房がビデオの中で作っていたからという理由でカレーでした。」

その作戦会議とは、とにかく写真をもう一度しっかり見直すことだった……。だが、そこでTがものすごい発見をしたという。

電線ですよ! ちょうど写真の数枚に、上り坂と上に続いていく電線が見えたんです。海に着く前に、さらに山を登る分かれ道があったから、そっちのほうに行きましょうと話して、戻っていくことにしたんです」

いろんな意味で灯台下暗しというか、その「電線沿いに山を登る」という提案があたっていたらしく、徐々に(数週間前に発売されたDVDや写真で)見慣れた景色が広がっていったという。「近づいていくにしたがって、二人で確信めいたものは生まれていきましたね。ここ、鬼ごっこで駆け下りてたところとそっくりだ! 間違いない! って。そのカーブを曲がると、アンティークなトラックが置いてあったんですね。もう、ハイタッチですよ」

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(普通の路上でハイタッチ!)

興奮気味に話しているのは、それだけ場所を見つけるのが大変だったからだろう。理解しがたい感覚ではあるが、それを含めての聖地巡礼なのだろう。「着いたら、もちろんスタジオの人に話をするわけですよ。中には利用者がいるから、建物の中は見せられないけど、中庭までなら入っていいと言ってもらって、写真を数枚撮らせてもらいました。

写真とパンフレットを見てここに来たって話したら驚いていましたよ。撮影スタジオはどこだとか、どこにも書いてないですからね。で、パンフレットの見本はもらっていないっていうから、サムライさんがオーナーに渡してました。」

ここ以外にも、サムライはほかの場所でも、写真集を渡していたという。「現地の人に迷惑をかけない、っていうのは鉄則ですから。それに、こうやって現物を渡すことで、なかに入れてもらうとかの交渉もしやすくなるのでギブ・アンド・テイクができてるっていうんですかね。聖地巡礼のコツだって話してくれましたよ。まあ、そのとき渡したパンフレット買ったのは僕なんですけど

こうして目的を達成した二人は、別の映像に出てきた湖が近くにあるかもしれないと話をして、さらに3時間近く見知らぬ土地を山道やヤブを歩きまわって東京に戻ったそうだ。

話を聞いているだけだとストイックというかマゾヒスティックというか、何か一般人には理解しがたい何かで動いているようにしか見えないのだが……。

「今はもうそんな時間も体力もなくなってしまいましたけど、やっぱり体を動かして自分で見つけるっていうのはすごく達成感があるんですよ。ここに行けばこれが見られるとわかって行くのも楽しいですけど、それ以上に思い入れができるし、苦労話もネタになりますから(笑)。いまでもBerryz工房は好きだしライブは楽しいですけど、こういう聖地巡礼やヲタモダチと飲んだりする楽しさってまた別物なんですよ。だから、意味不明に熱かったあの頃を思い出すと、すごく懐かしいなって思います。少し寂しい気持ちはありますけどね」

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