明治の五大監獄の偉容を伝える『旧鹿児島刑務所正門跡』は迫力ありすぎのワンダーなゲートだった

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中世ヨーロッパの城門のように聳え立つ巨大な建造物、明治の五大監獄と呼ばれた鹿児島刑務所の正門です。正門だけとなった姿からもかつての偉容が伝わってきますね。今回のワンダーJAPAN物件(産業遺産)は、世間の表裏を隔てる境界線だった『旧鹿児島刑務所正門跡』をご紹介しましょう。

以下、文・写真|ワンダーJAPAN編集部

旧鹿児島刑務所正門跡(鹿児島県鹿児島市)

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▲明治41年(1908年)竣工。鹿児島アリーナの敷地にあり、広大な広場にポツンと存在。大きな写真は刑務所内部から、こちらの写真はシャバから見たことになる

旧鹿児島刑務所正門跡は鹿児島県にある国の登録有形文化財(建造物)。訪れたときは、崩落の危険があるとかで近寄れないように柵が……。でも、こんな小さなコーンがあっても全然気にならないほど迫力のある佇まい。正門だけしか残っていないのに。いや、正門だけだからこの迫力か。

撮影中、どこぞのおじさんが近づいてきて、「あの塔の部分、あそこで首吊ったんだよ」と話しかけてくる。ホントかな。この見張り塔のような部分はとくに中世の城っぽくて、囚われたお姫様が塔の上から助けを求めるようなものを想像してしまう。

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▲桜の花びらがあしらわれた鉄の門扉。セキュリティのためか監獄の内側に開くようになっている。この門扉の上部にはバラ窓風のデザインもあり全体に洒落ている

明治の五大監獄を設計した建築家・山下啓次郎の作品。長崎刑務所(こちらも正門など一部を残し解体)も彼の作品だが、あちらはレンガ造り、こちらは石組みなのでかなり雰囲気は違う。ちなみに妖怪好きの建築家・伊東忠太と大学で同期。

アクセス

  • 九州新幹線・鹿児島本線「鹿児島中央駅」から車で8分。九州自動車道「鹿児島北IC」から車で5分。
  • 住所:鹿児島県鹿児島市永吉町13-9