イケアのオリジナルLED電球『RYET』が安すぎる! 買っても大丈夫か3種類を検証してみた

LED電球の検証方法

① 明るさ検証

電球から直下方向 1m の距離の明るさ(lx)を照度計で計測 (灯体の設計によって光りの広がり方が違うため、共通の一般的な位置で計測)。

② 消費電力検証

100V部とLED部に電流計を接続し、電流値から消費電力と電源効率を算出。検証にはKEYSIGHT社製34461A 6.5桁デジタルマルチメータ(DMM)を使用。

③ 電圧変動検証

LED部の電圧をオシロスコープに接続し、電圧変動(リプル)と交流成分の周波数を計測。

④ 分解検証

各部の作りやデキの良し悪しをハンダマスターの主観で検証。

イケア製E26『RYET LED電球 400ml 5W』499円/2本

2016122480

ガワ

400lm-05

LED・基板

400lm-03

400lm-04

電圧変動(オシロスコープ)

400lm-01

仕様まとめ

400lm-06

Vf(順電圧、LEDの発光に必要な電圧)が24Vとかなり高電圧のLEDが使用されている。一般的な白色LEDの発光素子はVf 3V程度なので、1チップに8素子分内蔵していることになる(見た目は長方形状のチップが2つ)。

オシロスコープの波形を見ると、電源回路のリプルが6.59V/56KHzとかなり大きい。56KHzなので通常目には見えないが、同じLED電球がもうひとつ隣りで発光していると、チラつきが干渉して目に見えるようになることがある。

放熱部は耐熱プラスチックのガワのみ。ただ、普通のプラスチックより冷んやりとする感触があるので、放熱性能のある比熱の低い材質が使用されているのだろう。ちなみに、この耐熱のガワはハンダごての熱(約370℃)を当てても溶けはするものの、焦げない。

イケア製E26『RYET LED電球 600ml 7.5W』799円/2本

2016122481

LED・基板

600lm-02

600lm-03

電圧変動(オシロスコープ)

600lm-01

仕様まとめ

600lm-04

内部は円筒状のアルミ製ヒートシンクを圧入する形で組立られており、分解に相当てこずった。樹脂製の根元部分を細断解体(最終手段)せねばならず、もはや流血級のパッケージングである。バラして中の電源基板とLEDを流用……という人には向かない。申し訳ないが、根元部の写真はバラバラになったたため無い。

さて、 この電球は電源波形をオシロスコープで見ると、スイッチング周波数が38.2KHz程であった。38KHzというと赤外線リモコンのキャリア周波数に近いので、光学フィルタの甘い(LED電球の光波長にも反応するような)赤外線リモコンの場合は、通信に何らかの影響がある可能性があるかも知れない。 LED部は6直列の36Vちょっとでドライブしている。LEDチップは1000lmの製品とVf値が似ているのでこれと同じものではないかと思われる。

イケア製E26『RYET LED電球 1000ml 13W』1499円/2本

2016122482

ガワ

1000lm-04

LED・基板

1000lm-02

1000lm-03

電圧変動(オシロスコープ)

1000lm-01

仕様まとめ

1000lm-06

カタログ値によれば、60W相当クラスでは他社製品よりも20%ほど高いlm値を謳っている。内部は12直列のLEDを実測73.4VのDC電源でドライブしている。 放熱は耐熱プラスチックのガワに鋳造アルミ製のヒートシンクが埋め込まれた構造。重さは117.4gと重量級だ。 LED電球の検証では、明るさや消費電力ばかりが評価されがちだが、一般的な白熱電球の重量は30gほどであるということを忘れてはならない。

用語について

実測照度(lx・ルクス)

電球直下 1mの距離の明るさ

実測電流AC(mA AC)

AC100Vでの消費電流(真の実効値)

実測電力AC(W)

上記の電流値×電圧(100V)

LED供給電圧(V)

LED基板+−間の電圧

LED実測電流(mA DC)

LED基板+−に流れる電流

実測電力DC(W)

LED供給電圧×LED実測電流

電源変換効率(%)

(実測電力DC÷実測電力AC)×100

LED Vf

LED1チップあたりの電圧、LED供給電圧÷LED個数。

リプル電圧(Vp-p)

LED供給電圧の変動値の最大・最小の差(幅)。小さいほど良い。

リプル周波数(Hz)

LED供給電圧の電圧変動の周波数。検出されないか、高いほど良い。

※本企画の検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。個体差等により結果が異なる可能性を踏まえたうえで、購入する際の一材料として参考にしていただければと思います。また分解等の検証は専門知識を持つ者が行なっております。真似しないようご注意ください。

2 / 2ページ