【連載】祝・後藤真希結婚! 青少年がアイドルに恋する瞬間

入院中にAKBにハマり、生きる希望を得た

当時、広島に住んでいたAくんがAKBを知ったのは、友人から最近気になっているものがあると教えられたのが始まりだった。

中学時代にその友人と「ときメモ」「センチメンタルグラフティ」といった恋愛シミュレーションゲームにハマった彼は、アイドルといえば、せいぜいアイドル雑誌を見るぐらいでさほど関心はなかった。

それが友人に「会いたかった」のPVをDVDで見せられ、「これはヤベエ!」といっぺんに虜になったという。「この子たちは一体何だ?」まずは、PVに出ている選抜メンバー20人を覚えようと、公式サイトからプロフィールをプリントアウトして顔と名前を照合していく。

また「会いたかったのDVDを朝起きた瞬間に見られるようにと、寝ているあいだもずっとかけっぱなしにしておいたりしましたね」。こうして20人覚えたら、PVにも出ていないメンバーも覚え、CD、DVDも出ている分はすべて買い集める。

当時はまだAKBがブレイク前で、CDショップにはまだ特典ポスターが残っていたりした。やがてPVを見ても、どこで誰が映るかまで細かく記憶するまでになった。

と、ここまでは普通のファンとたいしてやっていることは変わらない。Aがほかのオタと違ったのは入院した体験からますますAKBにのめりこんだことだ。

持病である悪性のニキビの治療のため、体に合わない薬を投与したせいで副作用が出るようになった彼は、顔だけでなく体中から膿がでる症状に襲われ、1ヶ月ほど薬を抜くため入院することになった。

空気に当たるだけで痛いし、息をしてもしんどい。だから寝ようにも眠れないし、朝起きると枕が血だらけになっていたりしたという。

精神的にもすっかり参って、ウツ状態におちいった。そんな「生きてはいるけど、ほぼ死んでいる状態」だった闘病中の彼の心の支えとなったのは、前述のAKBのDVDだった。

「元気で歌って踊っているアイドルがすごく輝いて見えましたね。それを見ていたら、すごく元気づけられました」。入院中で半死半生の彼にとって、AKBはまさに生の象徴として映ったのだろう。

入院前に、彼が生のAKB48の公演を鑑賞したのは、一度きり。秋葉原のAKB劇場には遠方枠限定公演(首都圏以外に住むファンのみを対象にした特別公演)を前述の友人と見に行ったときだった。

友人は全体を結構見ていたが、Aは公演のあいだ8割ほどは当時人気メンバーだった中西里菜を見ていたという。「DVDでは画面に映った人しか見れないけど、生でなら好きなメンバーを好きなだけ見てられるからいいなーって思いましたね」。

初めて見た公演で中西のかわいさを実感したAだが、じつはそれ以上にルックス的に好みで、気になる存在だったのが大江朝美だった。だが大江はこのとき公演を体調不良のため休んでいた。

東京に行けば、彼女たちの公演ももっと見られるし、触れ合えるかもしれない。退院後、仕事のなくなったAは、これをいままで行きたかった東京に行くチャンスととらえたのだ。

上京後、アルバイト生活の傍らAKBを応援する日々。やがて大江を実際に見る機会がめぐってくる。だがそれは、大江が中西、戸島とともにグループを卒業するコンサートだった。

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