アマゾンの高評価モバイルバッテリー『cheero Power Plus 3 10050mAh』は本当におすすめ? ガチ検証してみた結果……
10,000mAhクラスの超容量モバイルバッテリーをアマゾンで探すと、人気モデルとしてプッシュされやすいのは『cheero Power Plus 3 10050mAh』。700件以上のレビューが付き、★評価は4.4。高評価ですね。
というわけで、ユーザー評価どおりの製品なのでしょうか? アマゾンのレビュー欄は宣伝コメントも多いですしね。気になるところなのでガチ検証してみましたよ!(mitok編集部)
検証:ハンダマスターかしま
『cheero Power Plus 3 10050mAh』2,180円
内蔵充電池(LG製円筒型セル)
基板
放電グラフ(171分58秒)
バッテリーに 5.0V/2.0A の負荷をかけ続け、終止電圧(バッテリー充電1回分の寿命となる目安の電圧、モバイルバッテリーの場合は4.5V)に下がるまでの時間を計測。1回の充電でもっとも長く使えるモバイルバッテリーの指標となる。参考グラフは旧モデルのもの。
負荷テスト(1ポート最大2.54A)
4.5V降下時の負荷、保護切断時の負荷をチェック。
負荷テスト(ポート全体2.69A)
1ポートに 2A の負荷をかけた状態で残り 1ポートが 4.5V を下回るタイミングをチェック。保護切断時の負荷は3.26A。
リップル電圧(ノイズ)
電源が発するノイズを検証。充電時のリップル電圧をリアルに測定するため、充電時と同じ 2.0A の抵抗負荷を与えた時のリップル電圧(ノイズ)をオシロスコープで計測した。ノイズが大きいと充電中の音楽再生に影響する可能性もある。
検証結果まとめ
- 充電池
- メーカー LG製
- タイプ 円筒型セル x3 LGEBF1L1865 3.7V 3,350mAh 3並列(3.7V)
- サイズ / 重量 92 x 61.5 x 22mm / 189.7g
- コントローラ 不明(14ピン)
- ポート固定強度
- microUSB ハンダ4カ所+穴2カ所 強度◯
- USB ハンダ穴2カ所 2階建て 強度○
- 識別電圧 2.4A 自動(識別IC CellWise CW3004A)
- 2.0A負荷時電圧 5.02V
- 2.0A負荷放電時間 171分58秒
- 最大供給電流(公称値)
- ポート全体 2.69A(2.4A)
- 1ポートあたり 2.54A(2.4A)
- 過電流保護 3.26A
- 2.0A負荷リップル電圧 53.1mV
- 容量(3.7V換算)
- 公称容量 10,050mAh
- 実測容量 7,669mAh
- 誤差 -23.7%
- 1Ah単価 284.3円(本体2,180円)
- 電流スコア 112(100以上が理想)
- 容量スコア 76(80以上が理想)
総合評価 ★★★☆☆(3.0)
結論からいえば “大きな問題は無いが、やや実測容量が物足りないモバイルバッテリー” だろう。
今回検証した『cheero Power Plus 3 10050mAh』は LG製セルを搭載。実測容量は公称10,050mAh に対して7,669mAh、誤差は-23.7% で標準ラインの -20% を下回っている。最大供給電流は公称 2.4A に対し、破損対策となる過電流保護が動作する負荷は 3.26A で、公称値をクリアする結果となった。
mitok的基準(4.5V降下ライン)で見ると、公称値を満たしていても出力性能は物足りない。2ポートともに 2.4A識別であれば、ポート全体で 4.8A は欲しいが、2.69A だった。iPadなどの高容量バッテリーデバイスを充電する際は、もう片方は使わないほうがよさそうだ。そもそも保護断ラインが 3.84A であり、回路定数が安全志向に振られている印象だ。
電圧リップルは 53.1mV とやや大きめか。AMラジオを近づけると 790KHz の周波数ではザーザー音が消える。放送波があれば混信するかもしれない。
1Ahあたりの単価284.3円は少し割高感がある。アマゾンの価格を基準としているため、価格変更にあわせてコスパも変わってしまうのではあるが。
※本企画の検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。個体差等により結果が異なる可能性を踏まえたうえで、購入する際の一材料として参考にしていただければと思います。また分解等の検証は専門知識を持つ者が行なっております。真似しないようご注意ください。