診察料はどう決まる? 知っておきたい「保険点数」のはなし
病院に行って診察を受け、会計窓口で支払いをすると、かならず領収書/明細書をもらえますよね。年末調整のために取っておいているという人も多いことでしょう。ところでこの領収書、改めてよく見てみると、「282点」「70点」などの数字が記載されおり、「診療総点数 645点」などと書かれています。これはいったいなんなのでしょうか?
そこで、「アリエナイ理科シリーズ」でおなじみ、亜留間次郎さんに解説をしていただきました!
医療のお値段は保険点数で決まる
日本の医療制度において、医療行為の値段はすべて「保険点数」(診療報酬点数とも)で決められています。これにより、健康保険証を提出したときに受けられる医療は、全国一律で保険点数1点あたり10円となります。
医者にかかったとき、会計の際にもらえる診療明細書には、具体的な項目名と点数が書いてあるので、確認してみましょう。
たとえば、
- 風邪を引いて病院に行き診察を受け、
- 薬の処方せんをもらって帰ってきた
という場合は、発生する保険点数は以下のとおりとなります。
初診料…282点/再診料…72点
医者にとっての基本料金で、簡単に問診し、聴診器をあてて口の中のぞいたりする料金はここに含まれています。また、2回目(再診)からは安くなります。
処方せん料…68点
普通に風邪(感冒)という診察結果になり、薬を処方された場合は「処方せん料」が発生します。
というわけで、合計すると350点(初診の場合)になりました。保険証を提出していれば1点=10円として計算されるので、請求金額は3500円です。そのうち患者の負担は3割。つまり、会計窓口での支払いは1050円になるというわけ。ただし、薬代は別料金となります。
ちなみに、診察時間の長さは点数に反映されません。患者に親身になってくれるお医者さんは貴重な存在ですが、病院経営の視点でみると、この金額の場合は3分で処理しないと赤字になってしまいます。なんとも世知辛い話ですね……。
また、保険点数の「1点=10円」は、あくまでも健康保険が効く医療での話。最先端医療や美容整形といった自由診療の場合は、値段を医者が自由に決めることができます(もちろん自己負担率は10割)。思わぬ金額を請求されて驚くことのないよう、事前に確認しておきましょう。
点滴注射や人工呼吸の保険点数は?
▲保険点数は『診療点数早見表』(医学通信社)で確認できる。最新版は2017年4月増補版。
最後に、保険点数の例をいくつか紹介しておきましょう。これらの保険点数は、医学通信社が刊行している『診療点数早見表』やしろぼんねっとというサイトで確認できます。
保険点数の例(2017年8月時点)
- A000 初診料 282点
- A001 再診料 72点
- C000 往診料 720点
- D000 尿検査 26点
- D007 血液検査 115点
- D283 知能検査 450点
- D284 人格検査 450点
- E200 CT撮影 1,020点
- E202 MRI撮影 1620点
- F400 処方せん料 68点
- G001 静脈注射 32点
- G004 点滴注射 97点
- I000 電気痙攣療法 3,000点
- J045 人工呼吸 242点
- J046 心臓マッサージ 250点
- J047 カウンターショック 3,500点
というわけで、次に医者にかかるときは、ぜひ参考にしてください!
※本記事は書籍『アリエナイ理科式世界征服マニュアル』から一部抜粋し、加筆修正を加えたものです。本書では、映画やアニメなどで描かれる「“悪の組織”による世界征服」が現実社会で可能なのかを大真面目に検討しています。支配者になる前に知っておきたい知識が満載!