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「食べる禅」は過食予防にもなる健康的な食事術

「食べる禅」、ご存じでしょうか。

簡単に説明すると、日々のモヤモヤやイライラ、ざわざわをスッキリさせる食事術です。禅の修行にある「行鉢(ぎょうはつ)」という食事作法を現代風にアレンジしたものですね。ぜひ日々の生活に取り入れてみませんか?

ここでご紹介する「食べる禅」は、富山県の禅寺、最勝寺の和尚・谷内良徹さんが監修したもの。コンビニ弁当でも実践できるスタイルとなっています。

誰かとの関係に悩んだり、生活や健康のことで不安を抱えたりしている方、ざわつく気持ちを整えたいと思った日の食事に「食べる禅」を取り入れてみてください。

目次

「食べる禅」をやってみよう! まずはお弁当の用意から

まず最初に「食べる禅」でいただくお弁当を用意します。そのほかにもハンカチや小鉢、飲み物も必要になるので、できる限り用意してください。ハンカチや小鉢はご飯粒を取り分けるために使うので、その場で用意しやすいものを選びましょう。『食べる禅』の時は同じお弁当と決めておけば、「このお弁当は、心身をおだやかにするための食事なんだ!」と自分の中で習慣化でき、気持ちを切り替えるスイッチになりやすいでしょう

手順① 〜 姿勢を正して、目の前の 料理と向き合いましょう

椅子に腰掛けたら、真っ直ぐ背筋を伸ばして、できるだけ両足の裏を床につけます。手を膝の上に置き、肩の力を抜いて深呼吸をしてから、料理と向き合いましょう。

手順② 〜 5つのことをイメージしてから 「いただきます」といいましょう

次に紹介する5つのことを、しっかりと頭の中でイメージします。

  1. 料理を作った人、運んだ人、食材を作った人などに感謝する
  2. 生活の中での言動などを反省する(例「あれはちょっとよくなかったなー」)
  3. 食事中は「食べること」に専念すると決める
  4. 食事は健全な心身のための栄養源なのだと自覚する
  5. 「なりたい自分になる」ための食事にすると誓う(例「気持ちを切り替えるためにの食事をしよう!」)

手順③ 〜 ご飯粒を少しだけ 取り分けましょう

ほかの生き物に分け与えるため、食事の前にご飯粒を取り分けます。少量のご飯粒をお箸でつまんで、ハンカチやビニール袋、小鉢やお弁当のフタなど、お弁当とは別の容器に移します。

手順④ 〜 3つの所作を心がけて食事をいただきましょう

次に紹介する所作を心がけながら、丁寧に食事をいただきましょう。

お箸は、両手で取り上げ、利き手の薬指と小指で握り込んで持ちます。そうすることで、利き手の三本の指(親指・人差し指・中指)と逆側の手(=両手)を使って器を持てるようになります。なお、逆側の手も利き手と同様に三本の指で支えましょう。

そして、口に運ぶ料理はひと口サイズにして音を立てずに(音を小さく)噛みます。食材を口に含んだ時、噛んだ時、味が広がった時、飲み込んだ時など、料理をいただく際のひと口ごとの感覚を身体全体で味わいましょう。

身体全体で料理を味わう感覚を意識できれば、口の中にものが残ったまま、ほかの料理に手を出すことも少なくなります。

なお、飲み物は食事が終わった際に少しだけ残るよう、飲み干さずに取っておきましょう。

手順⑤ 〜 「ごちそうさま」といってから気持ちの変化を確認しましょう

食事をいただく前に比べて、少しでも自分のことを客観的に見られるようになったか確認してみましょう。モヤモヤやイライラ、ざわざわがなんとなく落ち着き、自分の心の機微にも気づけるようになれば、他人や、ほかのモノ・コトに対しても優しい気持ちで向き合えるようになっていくはずです。

手順⑥ 〜 取り分けたご飯粒などを2つの方法で自然に還しましょう

食事のあと、手順③と手順④で取り分けたご飯粒と飲み物を自然に還します。ご飯粒は庭やベランダに撒いたり、ペットに与えたりしてもよいでしょう。飲み物は植物にあげたり、庭に撒いたりして、自然に還してあげます。

*    *    *

心を整え、落ち着くまでのプロセスを、食事作法として実践する「食べる禅」。日々の忙しない食べ方と比べたら、新鮮でおだやかな気持ちになれたのではないでしょうか。

実は「食べる禅」はカラダにもいいんです。時間をかけて丁寧にいただくため、通常よりも少量の食事でお腹が満たされます。時間に追われて早食いすると、満腹を感じる前にたくさんの食事をとり込むことになり、結果的に食べ過ぎになってしまいがち。「食べる禅」は、そういった過食の予防にもつながる健康的な食事法といえるでしょう。

※本記事は単行本『食べる禅「いただきます」で切りかえる ココロとカラダのおだやかスイッチ』(谷内良徹 監修)から一部を引用、加筆修正したものです。

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