カップにセットしてお湯を注ぐだけで、簡単にレギュラーコーヒーが楽しめるドリップバッグ。準備や後始末に時間がかからずさっと淹れられるので、出先や職場ではありがたい存在です。ファミリーマートはドリップバッグに力を入れており、3種類の銘柄が置かれていました。今回は、これらを飲み比べてみましょう。
……とその前に、ちょっとファミマのドリップバッグ全体の話を。
まず、ドリップバッグの仕組みが良くできています。以前にセブンのドリップバッグをレビューした際も扱いやすさに驚きましたが、ファミマはまた別のベクトルで工夫されていました。
この通り、不織布のパック部分が横長になっていて、カップにあまり入り込みません。つまり、紙でできた部分がコーヒーに浸らないんです。
細かいところですが、「紙やインクの成分が流れ出てないだろうか?」などと心配せずに飲めるのはうれしい! 形状のためかコーヒーの抽出速度が遅めなのは賛否両論だと思いますが、個人的には濃く出しやすくてありがたいです。
なお総合評価の点数(5点満点)は、値段差を考慮せずに味だけで付けています。傾向は「甘め」「酸っぱめ」などの味のバランスです。
ドリップコーヒーカフェブレンド
●70g(7g×10袋)321円 ●豆の産地:ベトナム、ブラジル他 ●製造者:キーコーヒー
味の傾向
〈香り〉 ★★★☆☆
〈甘み〉 ★★★★☆
〈苦み〉 ★☆☆☆☆
〈コク〉 ★★☆☆☆
〈酸味〉 ★☆☆☆☆
総合評価 ★★★☆☆(3点)
これは(良い意味で)不思議な味!
甘みが強く、草っぽい独特の風味。苦みや酸味は控えめです。
ブラジルとコロンビアかな? と思いつつ原産国の表示を見ると、「ベトナム、ブラジル他」とのこと。何と、ベトナム中心でした。
ベトナムは、ブラジルに並ぶコーヒーの一大生産地なのですが、栽培に手間がかからず安価な「ロブスタ種」が中心。ロブスタ種は苦みが強く、酸味がほとんどないため、ストレートではあまり飲まれません。このため、コーヒー好きにはなじみが薄い産地だったりします。
詳細は不明ですが、このファミマの商品もロブスタ種を利用しつつ、ブレンドで飲みやすく仕上げているのだろうと思われます。安価な素材を活かした、面白いブレンドです。
ドリップコーヒー キリマンジャロ
●7g 82円 ●豆の産地:タンザニア ●製造者:キーコーヒー
味の傾向
〈香り〉 ★★★☆☆
〈甘み〉 ★☆☆☆☆
〈苦み〉 ★★☆☆☆
〈コク〉 ★★★☆☆
〈酸味〉 ★★★☆☆
総合評価 ★★★★☆(4点)
優しい酸味! 値段がちょい悩ましい……
キリマンジャロはタンザニア産の豆のことで、日本では特に人気が高いブランドのひとつですね。フルーティな酸味とほどよいコクが特徴の、「切れ味鋭い系コーヒー」だと言えるでしょう。
そこでこの「ドリップコーヒー キリマンジャロ」ですが、「キリマンジャロブレンド」じゃなくて「キリマンジャロ」と言い切っているところがポイント。産地を見ると「生豆生産国名:タンザニア」となっていて、100%タンザニア豆(キリマンジャロ)のようです。
肝心の味もなかなか立派なもの。優しい酸味と、雑味が少なくスムースな口当たり! コンビニ商品なだけに飲みやすくまとまっており、強烈な個性はありませんが、ちゃんとキリマンを楽しめる味です。
ただ、一杯(7g)で82円という値段は……、ちょっと悩ましいところ。
ドリップコーヒー エチオピアモカ
●7g 82円 ●豆の産地:エチオピア ●製造者:キーコーヒー
味の傾向
〈香り〉 ★★★★☆
〈甘み〉 ★★★★☆
〈苦み〉 ★★☆☆☆
〈コク〉 ★★☆☆☆
〈酸味〉 ★☆☆☆☆
総合評価 ★★★★☆(4点)
まさに”チョコレートのような風味”! 値段は……
「モカ」というのはエチオピア産とイエメン産を合わせた呼び方で、一般的にはエチオピア産のことです(イエメン産は希少で高価なので)。「エチオピアモカ」という表記は正直で好感が持てますね。「生豆生産国名:エチオピア」となっていて、(たぶん)100%エチオピアモカなところもうれしい。
キリマンジャロと同じく1杯82円するだけあって、味も本格的です。モカを例えるときによく使われる「チョコレートのような風味」がしっかり感じられます。ただ酸味については、モカとしては控えめ。コーヒーの酸味は苦手な人も多いので、あえてマイルドに仕上げているのかもしれません。
モカっぽい香気と甘みを求めるなら、満足できる一杯だと思います。
キリマンとモカは上質だけと高い!
「キリマンジャロ」「エチオピアモカ」は、どちらも原産国を限定して、しっかりした味に仕上げています。どちらもマイルド気味ですが、キリマンらしさ、モカらしさは感じられる味です。ただし、コンビニのドリップバッグが1杯82円は、やっぱりちょっと高い! 普段使いには厳しい!
そんなわけで一番のお気に入りは、安物をおいしく飲ませる「カフェブレンド」でした。
総合評価の通り、味だけで比べるならキリマンやモカのほうが上です!(でも値段が)